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第5話*
「せんせ、もっと奥して……も、指、いいからッ」
「お前は、本当に俺を煽るのが上手だね……初めてだから、大切にしたいのに」
「そんなんいいから、早く先生のをくれよッ、俺、も、腹ん中、熱くて」
先生が眉を寄せたまま、ふぅ、と息をついて、俺の上から退いた。スルスルと服を脱ぐ先生に、見惚れてしまう。
——ああ、想像したより、ずっとかっこいい……
着痩せして見えるのか、思ったよりも先生の身体はがっしりと筋肉質だ。学校の教師をやっているのだから体力的にも優れているのだろうが、服の上からでは想像もできない色気に、俺はもうどうかなりそうだった。そして、その下半身には——
——で、でけえ……
背の高い先生によく似合う、攻撃的な角度とサイズのそれが、息づいていた。
手際良くゴムをかぶせていく先生の姿に、この姿を知る過去の女性たちの存在を重ねて、俺は少し気分が重くなった。だが、そんなものは先生に覆いかぶさられ、深く口付けられてしまえば、あっという間に消え去ってしまう。
「どうした? 怖くなったか?」
ふるふると首を振る俺に、先生が瞳をギラつかせる。雄の顔をした先生に、俺はもうどうしようもなく興奮して、その熱に溶けてぐずぐずになりそうだった。
「早く……」
涙目で、精一杯誘う。目一杯足を開かされて、ちゅ、と先生の先端が俺の後ろに触れるのが分かった。ぬりゅ、ぬりゅ、と何回か浅く出し入れされて、焦ったい気持ちに腰が揺れる。その瞬間、ずずっ……と先端がナカに入ってきた。
「あ、あああ……ッ」
凄まじい圧迫感、それと熱。
「せん、せ、の……入って、くる、ッ」
「痛く、ない?」
「痛くない、あ、すご、せんせの、熱い、硬いッ」
感じたまま口にすれば、さらに先生の雄が中で質量を増すのが分かった。
「ひあぁ、すごい、すごいよぉッ……」
涙がポロポロと俺の頬を伝い落ちる。先生が心配そうな声をかけてきたが、俺はそれどころではなかった。
「痛いんじゃない、嬉しいんだよ、ッあ、先生と、一つになれて、嬉しい、ッん」
「ああッ、もうだめだ、結城、俺の我慢の限界」
唸るように先生が言うや否や、中のモノがグッ、グッと奥をえぐるように動き始めた。
「ッや、あ、せんせ、すごいッ」
「結城の中もすげ、締めてくるッ……」
「やぁッ、そこ、や! ああ、ああッ」
「ここか?」
さっき覚えさせられたばかりの前立腺を擦られ、あられもない声を上げてしまう。自分の甲高くて甘ったるい声が恥ずかしくて口を塞ぎたいのに、先生の腕がそうさせてくれない。
「結城、もっとお前の、可愛い声、聞かせて……」
「ああ、ッせんせ、ぁ、気持ちイイッ」
「こっちは? 好き?」
そう聞かれながら、ひときわ奥をずちゅずちゅと突き上げられて、目の前が真っ白になる。
「ッひ! あ、ああ、やあああッ」
もう自分が何を口走っているのか、分からなくなっていた。ズン、ズン、と突き上げられるたびに、目の裏で星がスパークする。腹の奥からは熱くて大きな波が生まれ、それに飲み込まれるように溺れていく。
「や、あ、だめ、やだッ、俺ヘン、なんかクるッ、あああッ」
「イきそうか?」
「わかんな、ぁ、ああッ、せんせ、俺、どうかなるッ」
「いいよ、そのままいっぱい気持ち良くなって」
そう言いながら、俺のびしょ濡れの屹立も先生の手の平に包まれて扱かれて、俺は本当に訳がわからなくなった。
「ッあ、ああ、あああーー……ッ!」
腹の奥で、大きな熱が爆発したみたいに、ぶわあって何か熱いものがこみ上げてきて、一瞬意識が飛んだ。
先生の手が俺の額に張り付いた髪の毛をよけてくれる感触で、俺はぱち、と目を開いた。
「大丈夫か?」
あのギラついた瞳はなくなっていたけれど、代わりに事後の色香をたっぷり漂わせた大人の男が、いた。
「ん……」
声がガサガサで、うまく出ない。その原因に思い当たると、俺は先ほどまでの自分の痴態に、真っ赤になって俯いた。
「水、飲むか」
眩しいばかりの裸体を晒して、先生がミネラルウォーターのペットボトルを手渡してくれる。
——なんか、先生がキラキラしてて、直視できねえ……
汗ばんだ身体は綺麗に拭われていて、タオルがかぶせられていた。
「ありがと」
先生にペットボトルを返すと、なんだか無性に恥ずかしくなって、俺は布団にゴソゴソと潜った。
「なんだ? 急に恥ずかしくなったのか?」
ベッドに腰かけた先生に、布団の上から撫でられて、笑われる。俺が動かないので、諦めたのか、先生が動いた気配がした。ほっとしたのも束の間で、次の瞬間、隣に滑り込んだ先生に俺は後ろから抱きしめられていた。
「……!」
「結城。こっち向いて」
ちゅ、ちゅ、と耳元にキスを落とされて、くすぐったい。ゴソ、と向きを変えると、唇にもキスをされて、ぺろ、と軽く舐められた。くすぐったさに肩を竦めると、先生が優しい口調で聞いてきた。
「結城は、俺と、付き合いたいの?」
——先生と、付き合う。
そんなこと、考えたこともなくて、俺は一瞬返答に詰まった。そんな俺の返事を急がせるわけでもなく、先生は黙って俺の頬を撫でている。
「一度でいいから抱いてくれって、そう言ったけど、それは文字通り、一度抱いたら終わりってことなのか? それとも、この先もあるって考えて、いいのか?」
俺の頭の中は、文字通り感情が洪水のように渦巻いていた。先生の指が頬を拭ってくれたことで、俺は知らず知らずのうちに泣いていたことを知る。
「結城が、俺と一緒にいたいって思ってくれてたら、俺は嬉しいけど、でもそこは結城の気持ちを優先したい」
「先生と、一緒……考えたこと、なかった」
「俺も数時間前までは考えてなかったよ」
そう言って、先生が喉の奥で笑う。
「だけど、じゃあ今から、考えてみよう」
「それって、恋人ってこと……?」
「そう、なるね」
俺の頭がとうとう限界を超えた。
「え、ちょ、どうしよ、なんかすげえ恥ずかしい」
「いや、さっきまでもっと恥ずかしいことをしていたような気がしますけれども、結城くん」
先生の、恋人になる。そんなの、一回抱いてもらえるよりさらに実現する確率が低いと思ってたから、想像さえしたことがなくて、今想像したら、恥ずかしすぎて先生に頭突きした。イテテ、と言いながら俺を抱きとめてくれる先生の体温がまた俺を高ぶらせるから、もう始末が悪い。
「やれやれ、結城くんは身体の方が素直そうだな」
俺の高ぶりを感じたのか、先生が、クスクスと色っぽく笑いながら俺の腰を撫でるから、俺はまた感じて声を上げてしまう。
「や、先生……じゃあ、もう一回、今度は恋人のエッチ、して」
「……お前には、ほんと、骨抜きにされそうだ」
そう言って、先生は俺に深くて長いキスをくれた。
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