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第1話 僕は良い友人である

僕は安原ミキ。近藤マサトの良き友人である。 どれほどの友人か、説明すれば長くなる。 まず初めに、彼とは小学生時代からの付き合いであることだ。 もちろん彼とは毎日一緒に登校したし、遠足でも弁当を一緒に食べた。 中学生になっても一緒だ。修学旅行の写真なんて見てみろ。 どれを見ても一緒だ。 高校生になってもモチロン一緒さ。 今だってほら、同じクラスだ。 僕の隣の席の……、隣の隣の… とにかく同じクラスだ。 ちょっと席が離れているからって 僕は良き友人だから 手を振ればマサトは振り返してくれるのだ。 「マサト。」 「?…おう、ミキどうした。」 ほら、 マサトはついさっきまで話していた他の奴らの話を遮って 僕に返事した。 「いいや?今日は弁当忘れてないのかなって思ってさ。マサト鈍いから。」 「はぁ〜!?んなことねーし。今日は持ってきましたぁ〜! お前に分けてもらう必要なし〜!」 「本当?君の弁当袋、今朝見てないけど。」 「あ。」 膨れっ面になる彼は面白い。 そして、いつもの僕らのやりとりに茶々を入れてくるクラスの奴らの反応も 小気味が良い。 八方からつつかれる彼を笑いながら 僕はいつものヤツを言ってやった。 「よく理解しておけよ。僕は君のことはだいたいわかるってこと。」 わざと意地悪く笑って見せると彼は返すように舌を出したのだ。 あぁ、面白い。彼のそういうところが僕は… いやそこまでは言わない。 だって僕は近藤マサトの良き友人なんだから。

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