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第2話 駄目駄目

放課後。 各々が下校したり、部活動を楽しんだりしている時間。 僕は一人グラウンドのフェンスに寄りかかっていた。 やっと春らしい天気をしてきた空は 気持ち良いほど水色で、風も程よく涼しい。 石ころを足で蹴飛ばしながら、僕はちらりと グラウンドの中央を見る。 野球部がガヤガヤと集まるそこに、 頭一つ抜けた男前が一人。 マサトがピッチングをしている。 ギュッと絞まる筋肉が次の瞬間には鞭のように しなる。 その瞬間がたまらなくカッコイイ。 僕と彼を遮るフェンスが煩わしく思えるほどには 今、僕は彼に夢中だ。 でも、このことはバレちゃいけない。 恋をしているなんてバレちゃ駄目。 きっと このことを言ったら彼と いつもみたいに仲良くすることなんて できっこない。 そんなの、僕にも、彼にも、良くないことのはずだ。 良くないことだから、僕は小さい頃からこの気持ちを抑圧しているのだ。 今までの歯痒い気持ちを思い出すと 自然と拳に力が籠る。 掴んでいたフェンスがガチガチと音を小さく立てる。 「駄目駄目。僕は良き友人なんだから。」 暗示をかけるように、小さく呟く。 大丈夫さ、僕はわきまえてるんだから。 ルール破りはしないよ。 深呼吸を数回して、僕は名残惜しい気持ちを抑えながら グラウンドを離れた。

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