69 / 113

『第xx回 xx市開催芸術文化祭 美術展部門 選評会場』 その選評展覧会には、毎年開催されているだけあって数多くの関係者が訪れていたーーー…。 市長、各学校長をはじめ、県議会議員や大学美術科教授………。 会場に展示された各校の生徒たちの作品を、談話しながら観てまわるその様子は、毎年の恒例行事だった。 「ーーやあ、松戸市長、ご無沙汰してます。 今年もとてもいい作品が揃っているようだね」 「ーーああ、これはこれは……M美大の、瀬戸(せと)教授。 市立第一高美術部の作品、先ほど拝見しましたが……今年も素晴らしいですよ。 流石は瀬戸教授の甥御さんが部長を務めるだけある」 「ーーはは……滅相もない。うちの和樹は、それだけが取り柄のようでね。 ……………ん?この作品ーーーー」 「ああ、こちらも…市立第一高校の美術部の子ですね。一年生のようです、 タイトルは、『自画像』ーー。良いですね」 「ーーーうん、とても良い。 素晴らしい才能だ。一年でこれだけのものを描けるとは………逸材だよ。 ぜひ、進学はうちの油絵専攻科に来てもらいたいねーーー…」 色とりどりの才能が溢れるこの場所。 そこにはたくさんの、夢や希望、そして、それぞれの未来が、いろいろな人々によって見据えられていたーーー…。       第1章 14歳・15歳編  ー完ー 

ともだちにシェアしよう!