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『第xx回
xx市開催芸術文化祭 美術展部門 選評会場』
その選評展覧会には、毎年開催されているだけあって数多くの関係者が訪れていたーーー…。
市長、各学校長をはじめ、県議会議員や大学美術科教授………。
会場に展示された各校の生徒たちの作品を、談話しながら観てまわるその様子は、毎年の恒例行事だった。
「ーーやあ、松戸市長、ご無沙汰してます。
今年もとてもいい作品が揃っているようだね」
「ーーああ、これはこれは……M美大の、瀬戸 教授。
市立第一高美術部の作品、先ほど拝見しましたが……今年も素晴らしいですよ。
流石は瀬戸教授の甥御さんが部長を務めるだけある」
「ーーはは……滅相もない。うちの和樹は、それだけが取り柄のようでね。
……………ん?この作品ーーーー」
「ああ、こちらも…市立第一高校の美術部の子ですね。一年生のようです、
タイトルは、『自画像』ーー。良いですね」
「ーーーうん、とても良い。
素晴らしい才能だ。一年でこれだけのものを描けるとは………逸材だよ。
ぜひ、進学はうちの油絵専攻科に来てもらいたいねーーー…」
色とりどりの才能が溢れるこの場所。
そこにはたくさんの、夢や希望、そして、それぞれの未来が、いろいろな人々によって見据えられていたーーー…。
第1章 14歳・15歳編 ー完ー
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