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告白 2-7
『コンコンコン』
「ーーーーーー!」
ノック音の直後、スライドドアが開いた。
「失礼しますー、玖賀さーん、お変わりないですか?
……あら、お友達が来てくれたのね?いいわねぇ」
若い女性の看護師が、笑顔で様子をうかがいながら病室へと入ってきた。
「…………………」
すぐさま身体を離し、気まずそうに目を逸らしている二人を見て、不思議そうに尋ねる。
「あら、玖賀さん立って大丈夫?足、痛まないですか?」
「あ…………いえ…………」
夕人は看護師のにこやかな視線に気づいて、気まずそうに軽く会釈をした。
「玖賀さん、さっきご家族さんに連絡つきましたからね。これから来てもらって、交通事故の保険手続きなどしていただいてから帰っていただくことになりますので、まずはーーー……」
看護師が説明をする横で、夕人はどうしていいかわからず…………「俺、帰ります」と一言呟いた。
「あっ!……ゆう……………っ…」
引き止めようとした速生の声を振り切って、夕人は足早に病室を出た。
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