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第3話

「君なんだろ?君がやったんじゃないのか?」  耳元で呪文のように囁く。すると蒼空は驚きの表情になり、思い切り三笠の手を払い除けた。触れられたことが嫌だったのだろうか。  つい、蒼空の幼さの残る美貌に心を持っていかれそうになった。職務中なのに、こんなことは許されない。三笠は気を引き締めた。 「すまん。びっくりしただろ。もうしないから……安心して」  そう三笠が謝ると、蒼空はテーブルの一点を見詰める。怯えたようなその表情に、『しまった』と三笠は思った。ますます心を閉ざされては大変だ。そうなったら、これから蒼空の取り調べができなくなる。 「お、俺……あんまり、人に触られるの好きじゃなくて……」  少し経ち、蒼空がようやく口を開いた。 「そうだったのか。すまなかった。許してくれ」  真摯に謝ると、蒼空はコクリと頷いた。三笠がそれを見て一安心したところに、先程の後輩刑事・有島が取調室に入ってきた。 「先輩、ちょっと……」  有島が手招きしてきたので、三笠はパイプ椅子から立ち上がり「待ってて」と蒼空に言い残し部屋から出ていった。その後は、他の先輩刑事が取り調べを担当した。しかしこの壮年の刑事は、自白を強要し蒼空に暴力を振るう勢いだった。

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