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第42話

「トロトロになってきたね、君の中。いい感じかも」  三笠は蒼空の中から指を引き抜くと、彼を今度は仰向けに寝かせた。 「脚、開いてね」  そう促すと、蒼空は素直に脚を開き三笠を受け入れる。 恥ずかしいのか、顔を朱に染めているのが可愛い。 三笠は蒼空の脚の間にポジションをとり、彼の頭をそっと撫でた。 「じゃ、力抜いててね。いくよ」  蒼空を気遣うように言うと、三笠は天を仰ぐ屹立を蒼空の秘孔へとあてがい、押し入れた。 「んっ……はぁっ……」  その場所を丁寧に解したとはいえ、蒼空には痛かっただろうか。久しぶりのことなら、仕方ないかもしれない。とはいえ、この様子なら誰にも蒼空の”この場所”が使われていないことは確認できる。三笠は、このことに少し安堵した。 「君の中、しっかりと締まるね。凄くいいよ」 「久しぶりだし、ちょっとキツいかも……」  そう言って耐える蒼空の顔は少し苦しそうだ。少し可哀そうにも思うが、彼を鳴かせたい欲が出てきた。 それでも、蒼空を大事に扱うことに決める。 「大丈夫?」  三笠は気遣わし気に蒼空の髪を梳いた。 「だ、大丈夫です……三笠さんのなら、全然平気……」 「無理しないようにするから、キツかったら言ってね?」  蒼空は安心したように頷いた。それを合図に、三笠は腰の律動を開始する。 「君の顔が見れていいな。色っぽいよ、蒼空くん」 「恥ずかしいです……でも、俺も三笠さんの顔が見れるのが嬉しい……」  上気した顔で、蒼空が微笑んだ。  三笠は蒼空の腰を押さえていたが、両手を蒼空のそれと繋いだ。  お互いの汗で、合わせた手のひらが濡れる。 今、自分たちは1つになれているのだと実感できる。  三笠が腰の動きを早くすると、蒼空の息の乱れも激しくなってきた。 その様子を見て、三笠の身体の熱が高まり、限界が近付いてきた。 「あん……あっ……もう、イキそう……」  蒼空の中心も、三笠の愛を受けて天を仰ぎつつ滴を垂らしている。 「俺も……ヤバそう……気持ち良すぎ……」 「じゃ、一緒にイこう」 「ハァ……ハァ……は……い……」  二人は一緒に快楽の高みへと駆け上がった。  しばらく二人でゴロゴロとしていたら、蒼空が口を開いた。 「俺、実は警察官になりたいなと思って……」 「え?どうしたの?突然」 「三笠さんと出会ってから憧れていたんですけど、最近になって本当に目指したくなったんです」  隣に横たわっている蒼空の、綺麗な目に見つめられ胸がドキドキした。 「そうなんだ……でも……」  今の仕事はどうするのだ。研修だってまだ終わってないというのに。 「今の仕事のことですよね?仕事は一応続けます。どうなるかは分からないし。まぁ、せっかく就職させてもらえたのに他に気持ちがいくのは申し訳ないですけど……」 「そうだよね……。でも、君が夢を追いかけるのは良いなと思うよ。俺なんかに、憧れてくれて嬉しいし」 「俺、今二十四歳ですけど、今からでも受けられるみたいだし。高卒だから三類になりますけど」 「頑張ろうな」  三笠は蒼空に顔を近づけて、額にキスをした。 「はい……」  そして蒼空を抱きしめながら、二人で眠りに落ちていく。  翌日、時間を見つけて三笠は佐久間に丁重に断った。佐久間の中ではやはり想定内だったようであり、笑顔で「分かりました。はっきりと言ってもらえて踏ん切りがつきました」と言い、それが余計に切なさを増したのだった。

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