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いざっ、出動!③
一週間をフル活用して作戦を練った。戦いで疲弊した身体を癒すのにも丁度いい期間だったと思う。俺も何日かを訓練に利用して、防御壁の使い方に慣れていった。
俺はE急でドラゴン討伐への参加にはギルドからの許可がいる。そのため、ダリウスと一緒に事情を説明して、特別に討伐への参加も認めてもらった。
「いよいよだな」
ダンジョンの入口まで着くと、大きく深呼吸をする。入ったことはあるのにやけに緊張するのは、前きた時とは覚悟が違うからかもしれない。
「今ならまだ引き返せるけれど」
「馬鹿野郎。そんなことするわけないだろ」
ダリウスは最後まで俺の心配をしている。それだけヤバい相手ってことなのは間違いない。
俺たちの間に流れる、独特の緊張感を俺は知っている。
祭事の日のあの空気だ。あのとき、クリスはなにかを察していたのかもしれない。
『ダリウス。この遠征が無事に終わったら結婚しよう』
だからこそ、あんな約束をしたんだ。
絶対に生きて戻って来るのだと自分に誓いを立てたかったのかもしれない。でも、結局それは叶わなかった。
ダリウスが何度も俺に結婚しようと言ってきたのも、その約束があったからなんだろうな。その証拠に、俺をツバサだと認識してからは結婚しようとはあまり言われていない。
「よしっ!行くぞー!」
頬を両手で叩いて気合を入れる。
ダリウスの手を掴んで、ダンジョンへと一歩を踏み出した。
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