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挨拶回り①
ダークナイトドラゴンの素材回収や不審行動の多かった魔物への対処がようやく落ち着いてきた頃、俺とダリウスはリアムの家を訪ねた。この後はエドの屋敷にも行く予定だ。
怪我もだいぶん良くなったから、リアムもギルドの仕事を再開するらしい。
「本当にダークナイトドラゴンを倒すとは思っていなかったよ」
三人分のお茶がテーブルに置かれると、席に着く。
「ダークナイトドラゴンが光線打ってきたときはどうなるかと思ったよ」
「そんな事まで出来たんだねあのドラゴン。倒せてよかったよ。魔物の生態系も少しづつ回復してきているようだ。あと数ヶ月もすれば以前のように戻るはずだ」
魔物の動きが戻れば犠牲者も減る。冒険者だって仕事がやりやすくなるだろうな。
「ありがとう」
手を組んだリアムが、俺達に頭を下げる。驚いたけど、俺はそれを受け入れることにした。きっと、リアムだってできることなら自分でダークナイトドラゴンを倒したかったはずだから。
「どういたしまして。そうだ、今度一緒に依頼受けに行こうぜ」
「……そうだね」
ふわりと笑ったリアムに俺も笑みを返す。
「ところで媚薬の効果はどうだったかな」
「へっ」
楽しげに目を細めながら聞かれて顔が熱くなる。ダリウスもいるのになんてこと聞くんだよ!今、いい感じの雰囲気だっただろ!?マジで台無しだ!
「俺のツバサに変な物を渡すのはやめてくれないかい」
「おかしいな。君も充分に楽しめたはずなのだけど」
「それに関しては否定しないけれどね」
否定しろよおおおお!!!!!
脳内で突っ込みを炸裂させる。
この二人といるとマジで疲れる……。まあ、リアムが通常運転なことには安心したけどさ。怪我で倒れてたときはまじで心配したから。
「言ってくれればいつでも用意するよ。もちろんもっと凄いものだってね」
妖艶な笑みを浮かべるリアムを見つめながらゴクリと喉を鳴らす。
実験台にされていることはわかっているのに、気になってしまう。それくらい媚薬の効果は凄かった。
「考えておくよ」
勘弁してくれ。
ダリウスが立ち上がり、俺もそれに習って立つ。リアムがひらひらと俺達に手を振るから、お辞儀をして外に出た。
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