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第1話 夜の裸体
部活、遅くなっちゃった。
といっても、とくに急いで帰る必要もないので、フツーにゆっくり歩いていた。
日が暮れてから帰ることはほぼ無かったためか、景色が違って見えたために、いつもの道じゃないところを通っているようだ。
「…迷った?」
つい声に出しちゃった。ちょっと焦った。
おそらくもう家に着いてても良いだろう時間になってるけど、どうも方向がずれているのか。
そして、普段通らない住宅街の太い道をまっすぐ歩いている。
この道だったら知っている。ここをまっすぐ行けば、いつもの道に出る。
ということは、けっこうな回り道をしたことになる。ちょっと失敗したな。
でも、まあ、知ってる道に辿り着いたから、少し安心した。急いでいたペースを落として、ゆっくり歩くことにした。
その通りすがった道沿いに、一軒家があった。その家のすぐ横を通っている。
その2階に明かりがあった。カーテンもなく部屋の中まで見通せる。
その部屋の中に、青年がふっと現れた。
腰に巻いていたバスタオルをさっと取り、頭にかけてくしゃくしゃとかき乱した。そのまま窓まで出てきている。
腰までオープンにしているので、全てが見えた。
個人的には、なかなかのモノだと思う。
どうやら星とか月とか見てたらしく、視線は上を向いていたらしい。
が、顔の向きはそのままで、視線が合った、ように思った。
いや、顔もこちらを向いたので、俺も見られた。
仁王立ちのままで。
その青年は、また天を向いた。何事もなかったように。
俺は、小走りに家に向かった。
* * *
あの背格好、そして家の場所。校区から考えて、おそらく同じ学校だろう。
あっ、でも、私立の学校だったら、住所とか関係ないもんな。
ウチの学校はフツーに公立の高校だし。
スマホを開けると、その裸体。
さっき、つい写真撮っちゃったのだ。
ちゃんとフラッシュ付けずに、無音にして。
ピントもちゃんと合ってるし、全身が綺麗に写ってる。
「ごはんよ~。はやく下りてらしゃい。」
「あ、はーい」
ぱっとスマホを片付けた。
* * *
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