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第2話 彼の正体

学校に来た。 授業が終わり、放課後。 ウチの高校は写真部があって、そこに僕が入った。 まあ、写真を撮るのは、子供の時から好きだったから。 被写体は、なんでも撮った。 風景、猫、そして人間。 人間を撮るときは肖像権とかいろいろ承諾してからじゃないとマズいことがあるって部活で勉強した。 アダルト系のサイトでも、アダルト・コンテンツ・アグリメントって誓約書がないと出さないっていう規約も知った。 「じゃあ、この写真出せないよな~」 って、あのスマホ写真を眺めていたら、 「あら、レンくんじゃない。新作?」 って後ろから声がして、びっくり飛び跳ねた。 「うわ!見た?」 「あぁ、ごめんごめん。驚かせちゃった?」 瀬川先輩(2年)だった。 「それ、レンくんよね。ちょっと見せて見せて」 「え、いや、あの、」 スマホをぱぱっと取り上げられて、その青年の裸体をじっと見て、 「うん、やっぱりレンくんだ。え、なに、撮らせてくれたの?」 と、ぐいぐい話に突っ込んでくる。 瀬川先輩と同じクラスのレンさんという人、他にもヌード写真があるって見せてもらったけど、 「いやこれ、セックスじゃないですか」 「あー、わかるんだw」 「え、あ、その、」 先輩はクスクス笑ってるけど、いやこれは、僕は不可抗力ですから。 「それになんで、…同じ学校の先輩の、セックス画像なんて持ってるんですか。」 「あぁ、これ?」 先輩のスマホを指さして、 「本人から、もらったから。」 「…、はぁ?」 もー、訳わからない。 *  *  * どーも、話を聞いても、イマイチ話が頭に入ってこない。 要するに、ひとつ年上の先輩のヌード写真が、女子生徒の間で話題になっていた、ということ、なんだろうけど、 「べつにカッコいいとか可愛いとかいうタイプではないよなあ…?」 たしかに僕もヌード写真撮っちゃったけど、 「だって夜にこんなにきれいな写真が撮れるなんて。性能がいいスマホだけじゃない技術があっての結果よ。」 と瀬川先輩が褒めてくれた。 そういう意味では、たしかに喜んでいい案件かもしれない。 「でも、これって覗きってことでしょ?犯罪ってことなんじゃ?」 この前の、部内勉強会で言ってた注意事項を思い出した。 法律のことなんか全然分からないけど、これってマズい部類の話だよな? 「うーん、じゃあさ、この写真もらっていい?あたしがレンくんに交渉してくるから。」 「はぃ?交渉?」 何を言い出すかと思えば??? 先輩の交渉術と圧力で、結局LINE交換されて写真を送ることになったんだけど、 「あ、一応、オリジナルの写真は消しててもいいと思うわ。権利がOKになったら持ってても問題ないけどね。」 って、瀬川先輩って、これで何をするつもり…? *  *  *

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