3 / 10

第3話 噂の写真

そして次の日。 早速動きがあった。 「あ、早川君、ちょっといいかしら。」 瀬川先輩が声をかけた。あー。昨日の、あの写真の件だな。 「レンくんがね、あの写真、自由にしていいって。」 一瞬、言おうとした言葉を忘れてしまった。 「えっと、それは、どういう意味で言ってるんでしょうか?」 瀬川先輩と同じクラスだから、まあ、仲がいいんでしょうけど、 それにしたって、…それにしたって、だぞ? 今回のネタは、『本人の』『ヌード写真』だよ?? 「うん、早川君が、好きにしていいって言ってたよ。」 「いや、あの、その、…、えーと?」 なんて言うのが適切なのか、ちょっと思いつかなかった。 「えっとね、カメラマンが撮った写真は、カメラマンが責任取っていいってさ。」 「えーと??」 瀬川先輩は、自身のスマホの、レンさんのセッ(ぴーー)写真を出して、 「私も、この写真もらったからねえ。これも、本人の承諾をもらってるのよ。だから、早川君も、その写真、持ってなさいよ。」 ちょっと、めまいがしてきた。 *  *  * 「…どう、落ち着いた?」 写真部の部室の長椅子に、横たわっていた僕に、上から瀬川先輩が覗き込んできた。 「写真部に入部してたら、こういうことはいずれ体験することになるから、経験積むなら今よ。」 「…そーゆーモンなんですか?」 「もちろん、学校内でそういうことはヤッちゃマズいけどね。だけど将来、そっちの道に進む可能性だって、無くはないんだから。」 「うーん、まあ、そうですけどね。」 「それに、男同士でしょ?だったらなんも問題ないじゃない。本人もOK出してるんだし。」 「そういうモンですかねぇ。」 「プライベートだったら、早川君でも見てたりするんでしょ?ネットとかでそういうのよく見るし」 「先輩はよく見てるんですか?」 「ま、たまにねwww」 「先輩もまだ未成年でしょw」 「そしたら、レンくんの被写体を撮らせてもらえばいいんじゃない?いい経験よ。」 「はい?なんでそこに?」 「ホントは私も撮らせてもらいたいところなんだけど、なかなか言うタイミングがw」 「先輩『が』撮りたいんですね。」 「あたし、レンくんのファンなのよ。追っかけもやってる、本人公認のファンなのよ。」 「それなら、タイミングなんていつでもあるでしょw」 「そうね。じゃ、早川君が撮りたいって言ってたって言っとくわ。」 「はい…、はぃ?」 *  *  *

ともだちにシェアしよう!