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第3話 噂の写真
そして次の日。
早速動きがあった。
「あ、早川君、ちょっといいかしら。」
瀬川先輩が声をかけた。あー。昨日の、あの写真の件だな。
「レンくんがね、あの写真、自由にしていいって。」
一瞬、言おうとした言葉を忘れてしまった。
「えっと、それは、どういう意味で言ってるんでしょうか?」
瀬川先輩と同じクラスだから、まあ、仲がいいんでしょうけど、
それにしたって、…それにしたって、だぞ?
今回のネタは、『本人の』『ヌード写真』だよ??
「うん、早川君が、好きにしていいって言ってたよ。」
「いや、あの、その、…、えーと?」
なんて言うのが適切なのか、ちょっと思いつかなかった。
「えっとね、カメラマンが撮った写真は、カメラマンが責任取っていいってさ。」
「えーと??」
瀬川先輩は、自身のスマホの、レンさんのセッ(ぴーー)写真を出して、
「私も、この写真もらったからねえ。これも、本人の承諾をもらってるのよ。だから、早川君も、その写真、持ってなさいよ。」
ちょっと、めまいがしてきた。
* * *
「…どう、落ち着いた?」
写真部の部室の長椅子に、横たわっていた僕に、上から瀬川先輩が覗き込んできた。
「写真部に入部してたら、こういうことはいずれ体験することになるから、経験積むなら今よ。」
「…そーゆーモンなんですか?」
「もちろん、学校内でそういうことはヤッちゃマズいけどね。だけど将来、そっちの道に進む可能性だって、無くはないんだから。」
「うーん、まあ、そうですけどね。」
「それに、男同士でしょ?だったらなんも問題ないじゃない。本人もOK出してるんだし。」
「そういうモンですかねぇ。」
「プライベートだったら、早川君でも見てたりするんでしょ?ネットとかでそういうのよく見るし」
「先輩はよく見てるんですか?」
「ま、たまにねwww」
「先輩もまだ未成年でしょw」
「そしたら、レンくんの被写体を撮らせてもらえばいいんじゃない?いい経験よ。」
「はい?なんでそこに?」
「ホントは私も撮らせてもらいたいところなんだけど、なかなか言うタイミングがw」
「先輩『が』撮りたいんですね。」
「あたし、レンくんのファンなのよ。追っかけもやってる、本人公認のファンなのよ。」
「それなら、タイミングなんていつでもあるでしょw」
「そうね。じゃ、早川君が撮りたいって言ってたって言っとくわ。」
「はい…、はぃ?」
* * *
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