4 / 10

第4話 裸の写真

「ちょっと先輩、マジですか?」 「マジだから、ウチに連れてきたんじゃないの。」 ここは瀬川先輩の家。 どんな流れか、瀬川先輩の家に、僕と、レンさんがついてきた。 「だって、僕は初対面ですよ。」 「私は二人どちらも知ってるから。仲介役で。」 僕は、女性の部屋に入ることも初体験なんだけど。 「じゃあ、早川くん家でやろっか?」 「えーと、無理です。」 「でしょ?だから、ウチに来たのよ。さ。」 と、一眼レフを渡された。このカメラは、部活の所有物。つまり、学校の備品だ。 メモリで保存するから、パソコンがあれば、そこでデータを抜き取ってしまえば、たしかに証拠はバレることはない。 「先輩、手慣れてるんですねえ。」 「わたしは、写真部ですから。カメラの扱いは慣れてるってだけですw。」 先輩、上手だなあ。 ってな訳で、なんとなくレンさんの姿を写真に収めてるけど、無口だなあ。今日初めて会ったのもそうだけど、まだ喋ってるところ、見てないや。 目だけカメラ視線、 ちょっとうつむき加減、 ベッドに横になって、体をひねってるところ、 なんか、なんていうか、色っぽいんだな。 体のどこか、顔の表情のどこかに、セクシーなところがあるんだな。 体を少し起こして、上体の隙間からカメラを覗き込む仕草のときは、瞬きをゆっくりするもんだから、カメラ固定で連射しちゃったもんな。 「そしたら、レンくん、ちょっとシャツたくし上げてくれない?」 はい、レンさん、まだ服脱いでませんよ。残念でした。 でもこれから、少しずつ脱いでいくみたい、な雰囲気だなあ。 寝そべりながら、片手でシャツの真ん中くらいをつまんで、摺り上げていく。 お腹の肌がちょっと見えてきた。 後ろから瀬川先輩のスマホのシャッター音も聞こえてきた。 体を起こして、肩のところを両手でつまんで、上げる。顔が半分隠れて、くびれが現れる。 後ろ姿からシャツの裾を、クロス腕で掴んで、ゆっくり持ち上げ、腕を伸ばして頭も通して脱ぎ放った。 そのシャツをそのまま下ろし、ちょっと振り向く。 背は高くないし、美形でもない、筋肉質ということもない、 平々凡々の体なのだが、なぜかセクシーな体の動きをする。 なんとなく、色っぽい体に見えるのだ。 ベッドの上で膝立ちで、ズボンの中のパンツの内側に手の平を滑り込ませる。 その手を、少しずつ下ろしていく。 ズボンを、パンツごと下げていく。 腰骨から衣類が下にずれていき、肌がどんどん露になっていく。 「うーん、レンくん、いやらしいわね~」 「先輩、オヤジが入ってますよ」 膝まで下ろし、太ももがすべて視界に入った。 つまり、そういうことだ。 あの日に撮った写真と、同じ格好になったのだ。 今は、この姿は、目の前にあった。文字通り、手を伸ばせば届く距離だった。 明るい視界でフレームに収められたモノも、なかなかのモノだった。 *  *  *

ともだちにシェアしよう!