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第10話 彼の彼氏
そうして、次の日。
部室に入るときに、人の気配がした。
入ってみると、瀬川先輩と一緒に、もう一人の男の人がいた。
「あ、蓮くん、この人よ。カメラマン。」
と、僕を指さした時、くるっと振り向き、その男の人がじっと見つめてきた。
「れん…?誰?」
「なあなあ、あのさ、」
その人は、言った。
「レンの動画、見せてくれないか?」
* * *
瀬川先輩と同じクラスの、バトミントン部のエース、名前があのレンさんと同じという、
どこからどう見てもイケメンの蓮先輩、それが、
「レンさんの彼氏?」
「そうよ。」
瀬川先輩の方がさらりと答えた。だからそこ、なんで?
「だから、レンくんに一番近い人なの。昨日のあの動画、蓮くんだったら渡して大丈夫だから。」
「先輩って、仲人(なこうど)やってるんですか?」
「キューピッドかもねwww」
「なんか、ここまでくると洒落にもならんですよ」
「いやー、まあ、マジでセックス動画も撮るんじゃないかってドキドキしてたけど、こういう結果だったら、まあ、いいかな。」
ってつい声に出しちゃったら、その蓮先輩が
「え、オレと?うーん、オレはいいかなあ…」
「え?いや、マジでヤバいっす!」
「あ、いやいや、遠慮するという意味だよ。」
「あ…、あー、そうですよね、あー、なんだ…」
ってか、イケメン先輩のヌード&セックス、それもレンさんとの絡みって、
ガチでマジでヤバいっす!!!
「って…?あれ、蓮先輩って、レンさんとセックスしてる動画ってあるんですか?」
「あ、うん、レンのヤツが撮ってるんだよな。ヤッたらLINEで動画送ってくるんだよ。」
がたんッ
椅子から半分コケた。
「あー、私も見たわよ。さすがに持ってないけど。でも記憶にしっかり焼き付けたから。」
「先輩…」
なんだか、なんなのこの世界は。
もうついていけない。
おわり
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