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第9話 画の相談
昨日の動画は、先輩に、見つかった。
スマホ貸してと言われてつい渡しちゃったのだが、動画をすぐに探し当ててた。
「なんで簡単に見つけちゃうんですかっ?」
「検索で最新のファイルって探せば、一番上に来るんだもん。」
しまった。けっこう奥のフォルダにコピーしといたんだけど、時間検索したら、そりゃそうか。
んで、結局その動画を全部見られたわけだけど、
「やっぱりアンドロイドだと、夜景の動画は弱いのよねー。今まで一番良かったのはファーウェイのカメラだったのよねえ。アレが一番夜景の動画が綺麗に撮れたんだけど。」
「先輩の意見、いろんな意味でヤバいです。」
「でも事実なのよ。今でもファーウェイが持てるんだったら、カメラとして使いたいくらいだもの。」
「先輩って、そんな子供の頃から何の夜景撮ってたんですか?」
さて。
「んで、この動画はどうしましょう?」
今度は、見も知らぬ大人が出てきてしまったのだ。
しかも、未成年のレンさんを犯している動画だ。
レンさんは、これを見る限り、同意でのもとであるだろうけど、
未成年という点においては、そういう意向はまったく当てはまらない。
ある意味、これって、証拠映像なのだ。物的証拠になりえるモノだから。
さすがに今回は先輩もちょっと悩んでたけど、
「ま、レンくんは早川君には許してるんだから、持ってていいんじゃないかしら。」
「でも今回は、相手の人の顔も映ってるから、それはちょっとマズいですよね。」
「そうねえ。レンくんの交友関係までは私も知らないし、相手はまさか撮られてるとは思ってないわよね。」
またちょっと考えていた様子だったけど、
「レンくんに渡したらいいかなあ。こういうのは、本来なら本人に権利が渡るものよね。」
先輩は備品の棚の中をごそごそ探し出した。
「どっかにあったはずなんだけどなあ。余ってるSDメモリがあったはずだから、コピーしてレンくんに渡せるように、準備だけしておくのがいいかな。」
先輩、こういうこと、手際がいいですね。
「今日はもう授業が終わっちゃったから、明日でもレンくんに声をかけておくわよ。」
なんか今の、デジャヴに聞こえるんですけど…
一応、先輩には、念を押しておいた。
「…まさか、今度はセックスの撮影なんて引き受けてこないでしょうね??」
「いくら私でも、そこまでは言えないわよ。本人から言ってきたら、話は別だけど。」
「そうだとしても、それはさすがに犯罪になりますからねえ。」
「でも、高値で取引されるとは聞いたことがあるわよ。」
「先輩、その発言もヤバいですって。」
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