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第26話 プッシールーム1号店
プッシールーム1号店は女性が勤務している
システムや対象とする客が男性なのは同じだが、サービスを提供するのが女性プレイヤーということで、セキュリティや通勤費の面で待遇が違う
2号店は、1号店の客からの要望でできた店だ
いまや売り上げは1号店と並ぶほどで、様々な嗜好を持つ人間がいかに多いかを物語っていた
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「ここにいるイケメンたちが全員ゲイとかないわー」
2店舗の定休日が被る第二火曜日、定例会と称して合同の飲み会がある
休みの日まで新宿に来たくないというプレイヤーもいるから参加は自由だが、オーナーが経営するというバーを貸しきって飲み食いし放題なため参加率は高い
「ノンケもいるじゃん。マサトさん、ミナミさん、スタッフのエチゼンくんとタカスギくん、コノエだってバイだし」
「マサトさんはめちゃくちゃ美人な彼女いるし、ミナミさんは辞めちゃったじゃん。エチゼンくんとタカスギくんはお金なさそう!」
「ごもっともです…」
悄気たエチゼンを1号店の【スコティッシュ】担当・ココアが肩を叩いて慰めた
「エチゼンくんもかわいーよ!」
「誰もかっこよくないなんて言ってないじゃん」
そう言ったのは辛口を得意とする【ロシアンブルー】のレーコである
「そういえば、ミナミさんの後に入ったコがすごい美人だって聞いたけど」
【ペルシャ】のマヤがマルガリータをロックグラスで煽りながら言った
「あ、知ってる!ハセさんが連れて歩いてるとこ見たことある」
【アメショ】のリナが叫んだ
「まじで?!」
リナに参加者全員が詰め寄った
1号店のメンバーは【ソマリ】に、2号店のメンバーは、【ハセ】に食いついた結果だ
「てかリナっち、なんでハセさんのこと知ってるの?!」
「だってわたし、前はハセさんのキャバクラで働いてたんだもん」
九とリナは同じアメショということだけで、何故か気が合い、プライベートでも遊んでいるらしい
「どんな人?男もイケるかな?リナっち紹介して!」
「清々しいほどのビッチだなー。九の目的はお金 でしょ?」
レーコが指でコインの形を作った
「てかさ、九にはリナがいるじゃん。付き合えばいいのに。そんなに仲がいいんだからさ。女もイケるんでしょ?」
強い酒を飲んでいるにも関わらず、マヤが的確な質問を投げ掛けてきた
九と目があったリナが困ったように微笑んだ
ああいう店だから、プレイヤーは当然美形ぞろいだ
リナといると飾らない自分でいられるし何より楽しい
だからこそ
「女の子とは友達の方が楽しいじゃん」
「名言だなー」
皆がうなずいた
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