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第61話 三毛①

三毛猫のオスは珍しいというのは有名な話で原因は遺伝子レベル 希少価値が高いから、繁殖させようとする非人道的な輩が出てきそうなものだが、染色体異常で産まれる三毛猫のオスは繁殖能力がないことがほとんどなのだという 繁殖能力?そんなものなくてもいい 人類なんていっそ滅べ というのが、いまから書く男の考えだ… …った ※※※※※※※※※※※※※ プッシールーム2号店【三毛】担当のコノエはバイセクシャルだ 【マンチカン】のアヤメもそうだったが、いまは彼氏(コタロー)に夢中で、ゲイの【タチ専】がすっかり板についた プッシールームの客の中には、少数だが【ウケ】もいて、そういう客はプレイヤーを【タチ】に見立てて後ろをいじることがある コノエはそんな客からの指名ナンバーワンプレイヤーで、プッシールームになくてはならない存在だ 「コノエ、指名入ったけどいい?」 予約客が一人終え、もう一人の予約客までの待ち時間にマサトから声がかかった 「大丈夫です。誰ですか?」 いまは新規の客は取っていないから、通してもらえるのは一度は利用したことがある客のはずである 常連の誰かならすぐにわかるのだが 「ひと月くらい前に一回来てる。【メイちゃん】だって、覚えある?」 「顔見ればわかると思うので、通していいですよ」 「オッケー。あ、このコもしかしてあれかな」 カルテに目を通していたマサトが何か思い出したようだった 「『オタクファッションコス希望』って、前にも1回いたよな、そのコじゃない?」 「あー…」 それならコノエにも覚えがあった 確かあのコは【ネコ】で… 「俺も思い出しました」 コノエはウキウキしながら、コスチュームに着替えた 「コノエ、楽しそうじゃん?お気に入りの客でも来た?」 プレイ終わりの九がシャワーを終えて出てきた (こいつ)のプレイ中の盗撮動画が流出したことにより、いまは一度来たことがある客のみ受け付けている 「わかる~?」 コノエは鼻歌混じりに答えた 九は水を飲みながら横目でコノエの着替えを見た 「オタファッション、ミナミさんの持ち込みだって知ってた?」 「マジ?なんで?」 「アニオタ仲間のことが好きな常連がいたんだって」 「片想いの相手の代役ってことかあ。プッシールーム(ここ)に来る理由ってホント色々だよな。まあそのお陰で俺も指名もらえるからいいんだけど」 コノエは見事にオタクに変身すると、【三毛】のプレイルームに向かった コスチュームを、あくまで興奮のスパイスレベルとして考える客と、本格的なイメージプレイに使う客と2通りいる メイは後者だとコノエは記憶していた 「あ、お久しぶりデス」 これが正しいかは不明だが、コノエは自分がイメージしているオタクの話し方や仕草で振る舞ってみた ガラスの向こうのメイがペコリと頭を下げた 元々客側のブースは薄暗くてよく見えない仕様にはなっているが、メイの場合は前髪が長くて顔がわからない そして、メイのファッションもまるでこのプレイのために着てきたかのようにダサかった 黒いロゴTにチノパン、そしてスニーカー 背が高くてガタイのいいひとが着ればかっこいいのだろうが、メイは身長160センチくらいで細身なので、そもそもサイズが合ってなくてモサい 自分が彼氏なら、ミナミさんような服を着せてー 『あの…』 スピーカーからメイの声が聞こえてコノエは我に返った 「あ、ゴメンナサイ。ちょっとメイちゃんで妄想してました」 コノエはそう言うとガラスに近づいた メイがあたふたと髪の毛を手櫛ですいた コノエはガラスに手をつくと、 「今日も犯していい…ですか?」 ありったけの劣情を込めた声でささやいた ※※※※※※※※※※※※ 【三毛】の部屋にはコノエが担当する【ウケ】の客のために、大きな姿見がある 相手が後ろを向いていてもコノエの姿が見えるようにだ 必然的に、コノエからも相手の体勢や手の動き、表情がわかって、仕事ということを忘れる時がある メイは椅子に片方の膝を乗せコノエに背中を向けた コノエは鏡越しにメイを見つめた あんな長い前髪で見えているのかと思うが、メイはコノエの視線にきちんと反応した 「脱がしてあげたいんですが届かないので、自分で脱いでもらってもいいですか?」 コノエに言われ、メイはためらいがちにチノパンを下ろした

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