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煌めくルビーに魅せられて番外編 吸血鬼の執愛9

「マサさんがお願い事を言うと、ルビー色の瞳が淡く光って、目が離せなくなるんです。そしたら頭の中がほわほわして、そのお願い事を聞かなきゃってなるんですけど」 「そんな感じなんだ、実におもしろい」  催眠の体験談を、内心ワクワクしながら聞き入る。 「はい。だけどほわほわを妙に意識したら、聞いていたお願い事が、どこかにいっちゃうんです」  そのせいで瑞稀は、俺の催眠にかからなかったというわけなんだな。本当に不思議なコだ。 「俺の瞳に催眠の作用があることがわかって、なんだかおもしろいな」 「マサさんの瞳もですけど、声も影響している気がします。いつもより耳に声が残っているんですよ」 「なるほど。ちょっと実験してみてもいいかい?」  言いながら吸血鬼に変身して、瑞稀の顔の前に自分の顔を近づけた。 「変なお願い事をしないでくださいね」 「瑞稀好きだ」 「ぶっ! いきなりなにを言って」  瑞稀の顔が、耳まで朱に染まる。相当照れているらしい。 「瑞稀がほしい」 「ほほほっほしがっても、あげることはできません」 「少しでいいから」 「少しって、なにをねだってるんですか?」  からかいがいのある瑞稀をもっと翻弄すべく、もっと卑猥な言葉を頭の中で考えた。 「先っぽだけでガマンしてあげる」 「ちょっ、それっていったい」 「ふふっ、わかってるクセに」 「本当にわかりませんって」 「全部はねだらない、本当だよ。痛くしないように、丁寧にしてあげる」  そう言って、舌先で首筋をつーっとなぞった。 「ひっ!」  細身の躰がビクつき、瑞稀の下半身のカタチが変わっているのを知らせる。 「おかしいな。俺はまだ血を吸っていないのに、瑞稀ジュニアが大きくなっているみたいだが」 「やっ、あの…これはその……」  体を縮こませて必死に腰を引き、言いわけを考える瑞稀が、かわいくて仕方ない。 「吸血鬼の俺は、いつも深く牙を突き立てて相手の血を吸うが、今夜は先っぽだけ使って、一瞬だけで終わらせようと思っていたのに」 「え?」 「瑞稀ジュニアが大きくなったことについて、俺が全力で責任を持たなければならないね。小さくなるまで搾り取ってあげよう!」 「わっ、まっ待ってマサさんっ! そんな~」  こうして自分の都合のいいように瑞稀を思う存分に貪り、あとから叱られてしまったのである。

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