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 メフィストは湯船に入ると、自分の股の間に苺を座らせ、後ろから抱き締めた。 「あ、あの……、メフィスト様。あ、あれ……、あれがなんと言っていいのか……。その、当たっております」  苺が自分の体を少し前に移動させようとしたが、メフィストは離すまいと、苺の体に回していた腕を腹回りに下げ、苺の背中にわざと自身の熱くなったモノを擦り付けるかのように密着させた。そして、苺の耳元に吐息交じりでいつもより一段階低い声をさせ、甘く囁いた。 「ヘッ、当たってんじゃなくて、……わざと当ててんだよ。俺の、すっげぇガッチガチだろ? ん?」 「んんっ、耳元で囁くのは反則です……。苺には刺激が強すぎます」 「何、その反応。すっげぇ可愛い。こんな可愛い子がチラシ配りさせられるって、店主も見る目が無いな。苺ちゃんは可愛いし、丁寧だし、おしとやかだし、人気ありそうだけどな」  メフィストは苺の首筋に顔を埋め、濡れた髪の毛を何度も優しく撫でた。そうしていると、苺は急に黙り込み、すすり泣くように泣き始めた。メフィストは少し驚いたが、苺に優しく声をかけてあげた。 「どうした? 俺が話聞こうか?」 「よろしいんですか?」  メフィストは涙を腕で拭う苺と向かい合う。自分の顔を切なそうな表情をして、涙目で見つめてくる苺に、メフィストはドキッとした。メフィストは優しく微笑みかけた。 「女将は……、苺の育ての親なんです。メフィスト様は異世界をご存知ですか?」 「えっ、あんなに厳しく当たってたのって苺ちゃんの育ての親だったんだ。で、異世界? まぁ、異世界は知ってる程度かな」 「こことは違う文化と歴史が流れる世界で、戦や反乱が絶えない時代を生きていました。その時に、あの創造者様に拾って頂き、命を取り留めました。確か、苺が十六歳の頃だったと思います。ここは奴隷として売り買いされていた者もいるので、皆が生きていくためにはより多くのお客様を招いて、ご奉仕しなければならないのです。しかし、表立って商売をすると、印象が悪いので、あのように市場へ出向き、狙いを決めて、チラシを配っているんです。ですので、売り上げが悪いと、私達の住む場所が無くなってしまうのです」 「なるほどねぇ。俺は本当にたまたまだったんだ」 「はい、なんかすみません。お客様にこういう話をするのはよろしくないのに、聞いて下さってありがとうございます。苺は十八歳を過ぎて、遅めのデビューでしたので、至らない点も多くて、固定客がつかないから、女将も怒っているんだと思います」  メフィストは肩を落とす苺の頭を優しく撫でた。そして、もう一度、ギュッと抱き締めた。 「苺ちゃんなら大丈夫だよ。実際に、俺は苺ちゃんの事を好きになりそうだったし」 「メフィスト様にそう言ってくださると、苺は心強いです」  苺の表情は子供のような無邪気で儚くて、メフィストは苺に釘付けになった。  十分に温め合ったところで、二人は湯船から出て、脱衣所へ向かった。苺がバスタオルを手に持ち、メフィストの体を拭こうとした。このままでは苺の体が冷えてしまうと思ったメフィストは苺からタオルを取り、苺の体を拭き出した。 「あ、あの、苺は自分で拭きますから」 「いいの。俺が拭きたくなっちゃったの。俺の体は自分で拭くから」 「で、でも! それじゃ、おもてなしが――」 「十分おもてなしされてるし、俺の体を拭くの大変だろ? その代わり、この服? 布? の着方が分かんねぇから、教えてくれ」  メフィストは苺の体を拭き終わると、自分の体を拭き始めた。その間に、苺には自分の浴衣を着るように伝え、拭き終わるのを待って貰った。そして、メフィストは苺から浴衣について説明を受け、着付けをして貰った。

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