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「しゃーない。分かったよ。お前はフードでも被ってろ。その顔を晒すと、皆が悲鳴を上げるぞ。ほんじゃ、オルトロスは主の城を守ってくれよ」
ストレスはメフィストに背中を押され、オルトロスとともに城門まで行った。そして、オルトロスを元の大きさに戻した。
オルトロスと別れを告げ、ストラスはメフィストの肩を借り、旧魔王城地下まで飛んでいった。そして、地下道の奥を進むと、メフィストが言っていた扉が本当に存在していた。
「ほら、あれが天空都市へ通じる扉だぜ。な? あっただろ?」
「実際に入ってみないと分からん……」
ストラスは眉間に皺を寄せて、その扉を見た。メフィストは呆れた様子で目つきの悪い自分にフードを被せ、その扉を開けた。ストラスは眩し過ぎて、腕で顔を覆った。
「ほら、あれ。上を見てみろよ。『天空都市へようこそ』って書いてあるだろ?」
「ま、眩しい。……確かに書いてあるな。お前の話は本当だったんだな」
ストラスは目を細め、アーケードを見た。確かにメフィストが言った通り、そのような文字が記されていた。
二人は検問所の列に並んだ。二人の順番になったが、門番があまりにも目つきの悪いストラスを見て、怪しい目でジロジロと見てきた。メフィストがその場を取り繕い、なんとか二人の入場許可を貰ってくれ、中へ入ることが出来た。
「とりあえず、街は今度ゆっくりと案内するから、このまま茶屋へ行くぞ」
「あぁ、そうしてくれ……」
ストラスはメフィストの肩に寄り掛かりながら、そう呟く。メフィストは何やら地図を見ながら、路地に入り、壁に突き当たった。行き止まりかと思えば、メフィストが壁に触れると、壁は消え、茶屋への道が切り開かれた。
「ほら、あれが茶屋だ。もう少しだから、そろそろ起きろ」
「あぁ、お、起きてる……。早く疲れを取りたい」
メフィストが目的地である茶屋を指差していたが、ストラスはウトウトしながら、適当に答えた。そして、二人は茶屋へ入ると、番台に女将が座っていた。
上がり框に二人で座ったが、あまりの疲れでストラスは後方へ倒れそうになる。女将が心配し、番台から出てきて、ストラスの背中に手を添えた。
「このお兄さん、大丈夫なのかい? 相当お疲れだけど」
「あぁ、平気だよ。苺ちゃんにマッサージしてもらえればいいんじゃないのかな? で、女将、今日は二人でこれ位あれば十分か?」
メフィストが女将に金袋を手渡していた。女将は金袋の紐を緩め、中身を確認していたが、金貨が溢れそうな位に入っていたのがなんとなく見えた。
女将はすぐさま番台へ戻り、金袋の中身を出し、目視しただけで顔色を変え、手を二回大きく叩いた。その合図で、大見世の部屋から二人の美少年が出てきた。
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