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 ストラスが真剣に本を読んでると思いきや、急に立ち上がり、苺の手を取り、風呂場へ向かった。 「まずは互いの体を洗おう。不快だと感じたら、気にせず言ってくれ」 「は、はい……。で、では、苺から洗わせて頂きます」  二人は裸になり、洗い場へ向かった。苺は湯を汲み、石鹸を泡立てると、ストラスの体を洗い始めた。お互いに向かい合い、立った状態で洗う事に苺は恥じらいを感じた。少し見上げると、ストラスがじっと自分の事を見ており、苺は緊張して、視線を逸らし、ストラスの体を洗うのに集中した。 「……緊張しているのか?」 「ふぇっ?! い、いえ……。なんでもありません」  ストラスは自身の体についた泡を手で掬うと、苺の体を洗い出した。苺は驚き、体をビクつかせた。 「本にはこうやって洗うと、より良いと書かれていた」 「えっ! ちょ、ちょっ! んっ!」  ストラスは苺に歩み寄り、抱きつくように背中へ手を回した。そして、体を動かしながら、互いの肌を擦り合わせた。 「あっ! うぅっ……!」 「どうした? 苺ももっと私に抱きつくように手を回せ。しかし、体格差ゆえ、この状態では洗いにくいか」 「そ、それはそうですが……。そのような洗われ方をすると、なんと言いますか――」 「……確かに、苺の体は熱を帯びているな」 「こ、これはただ単に緊張しているだけです!」 「そうか。では、今の要領で私の背中に苺の体を押し当てて、体を使って私の背中を洗ってくれ」  ストラスはそう言うと、苺に背を向けるように椅子へ座った。ストラスは椅子に座るなり、早く背中を洗うように急かしてきた。苺は戸惑いながらも、ストラスの大きな背中に体を押し当てた。そして、体を上下に動かした。 「……なんだ? 動きがぎこちないぞ。他の客にもこういうのをやった事あるなら、手慣れたものだろう?」 「そう、そうですが……。ス、ストラス様だと、その……恥ずかしいというか、何と言うか」 「そうか。私では苺をそのような雰囲気にさせる事が出来ないということか……」 「ち、違います! 違いますが……」  苺はストラスに高鳴る鼓動を感じ取られるのが怖かった。それと同時に、自分自身がストラスの事を好きになっている事に複雑な気持ちを抱いた。 「まぁ、私が苺に無理強いさせているのなら、この辺にしておこう。さぁ、体を流すぞ」 「……す、すみません」 「なに、謝ることはない。ほら、湯に浸かるぞ」  互いの体を洗い流し終わると、ストラスは苺の手を取り、湯船に浸かった。そして、ストラスは自分の股の間にスペースを作り、そこに苺を座らせ、自分に凭れ掛かるように後ろから抱き寄せ、肌を密着させた。 「はぁ…………」 「あ、あの……。ため息をつかれて、どうされましたか? やはり、お疲れなのでは?」 「いいや、違う。苺と何度も触れ合って、分かった事がある」 「触れ合うと言っても、添い寝位しかしていませんが……」 「それでも分かる。苺の柔らかで触り心地の良い髪に、白く透き通った張りのある滑らかで美しい肌の触り心地。……とても落ち着く。石鹸の香りがとても似合う。顔を埋めたくなる」  ストラスは苺の首筋に顔を埋めてきて、苺の濡れた髪を何度も優しく撫でてくる。苺は頬を赤くし、体を縮こませた。そして、いつの間にか勃っていた自身のモノを両手で隠した。苺はストラスに気付かれていないか心配だったが、どうやら気付いていないようで少し安心した。 「――ん? どうした? 考え事か?」 「いいえ! その、あの……。すみません、考え事をしていました」 「私が体の洗い方を強要したり、このような抱き方をするのが不快だったか? それなら謝罪を――」 「違います! 本来なら苺が積極的にしなければならないのに……。これでは、まるで苺が客でここへ来ているようです」 「そのようなことを言うな。私は今の苺のままで良いと思うぞ」 「で、でも――!」  苺は振り返り、困惑した顔でストラスの顔を見上げた。ストラスは苺に反論させる隙を与えず、苺の唇に人差し指を当て、黙らせた。そして、穏やかな笑みを浮かべ、苺の頬やうなじに何度も優しく口づけをした。

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