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苺の唇に当てられたストラスの人差し指は親指へ代わり、苺の濡れた下唇をなぞった。苺はストラスの穏やかな笑みに吸い込まれるように、ストラスに釘付けだった。
互いに黙ったまま、見つめ合い、ストラスは抱き寄せる片腕の力が強まり、より密着する。
「苺…………」
「……ストラス様」
苺はストラスに顎を手で持ち上げられ、ストラスの唇がゆっくりと近づいてきて、唇同士が触れ合い、物足りなさそうに離れていく。
苺は黙ったままでいるストラスを見て、ストラスと向かい合わせになるようにゆっくりと体勢を変え、濡れた髪を耳にかけ、ストラスの両肩に手を添えた。苺は言葉を詰まらせ、目を泳がせながら、ストラスに優しく声を掛けた。
「……ス、ストラス様でしたら、その……、もう少し長く、唇を重ねても……大丈夫ですので」
「本当か? 嫌ではないのか?」
「めっ、滅相もありません。ストラス様の口付けは誰よりも優しくて、……怖くありません。む、むしろ落ち着きます」
「苺…………」
互いに目を見つめ合い、唇を見つめ合った。苺はストラスの首に少しずつ腕を回し、ストラスは苺の体を自分の体に引き寄せた。二人はまるで磁石のように、少しずつ互いに近付いていった。そして、再び唇を重ねた。
苺がストラスの下唇を軽く吸い上げたり、甘噛みをすると、ストラスも苺の真似をした。段々と互いの息が荒くなり、密着させた体には相手の波打つ鼓動が感じられた。しかし、それだけではなかった。
「ストラス様……、あの……」
「なんだ?」
「その、苺のお腹にストラス様の……、アレが……」
「ん? アレとはなんだ?」
苺は言葉を濁し、下を指差した。ストラスは苺の体を少し離し、苺が指差した場所を見た。そして、ストラスは目を大きく見開いた。
ストラスのアレが勃っていたのだ。ストラスは感動したような顔をしており、強く抱き締めてきた。
「苺、……ありがとう。先程からの痛みはこれだったのか」
「とりあえず悩みが解消して良かったです」
「苺のお陰だ。…………だから、もう少しだけ」
ストラスは嬉しそうな顔をして、苺の顎に手を当て、持ち上げ、鼻だけで笑うと、再び口付けをした。そして、苺の緩んだ口にそっと舌を入れた。苺は一瞬ビクッと体を震わせたが、ストラスの舌を受け入れた。互いの舌を絡ませたり、吸ったりする度に、二人のそそり立ったモノは互いの体に挟まれた空間でビクビクと脈打つ。
「ストラス様。これ以上、湯船の中にいると逆上せてしまいそうです」
「あぁ、そうだな。私も逆上せてしまいそうだ」
二人は照れ笑いをしながら、湯船から出た。脱衣場で自分の体を拭き、新しい浴衣に着替えた。その最中、苺はチラチラとストラスを見た。ストラスは安堵した表情で、苺はホッとした。しかし、目線を落とすと、ストラスの力強くそそり立ったモノを見て、急に不安が押し寄せた。
苺は頭をフル回転させながら、どうしたらいいか考えた。次第に、血の気が引け、顔が引き攣った。苺はストラスに悟られないように、バスタオルで顔を隠しながら、引き続きストラスのそれをチラチラと観察した。
「――ん? どうした? そんなジロジロと私を見てきて。何かおかしなところがあるか?」
「へっ! ――そ、そんな! おかしなところなど、何もございません!」
「なんだ、そうか。それよりも服を早く着ないと湯冷めするぞ。私は先に部屋へ行っているぞ」
「あっ、はい! す、すぐ身なりを整えます」
慌てる苺を見て、ストラスは微笑み、バスタオルを頭から被っている苺の頭をポンポンと優しく叩くと、部屋へ向かった。
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