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第27話

 エースのどこか危なげな態度に緊張感で胸の鼓動が急に高まっていた。俺はこの人のことをほとんど何も知らない、義父の元に通い詰めるほど俺を好きな番のかたわれであるとしか。その他の生活上の癖やなにかについて知り始めたばかりだった。  だから、この過去についての態度は彼を知る手掛かりになり得るとは思っていたけれど。  番って、皆こんなに嫉妬深いんだろうか?  俺が女子と手を握っただけで、石鹸で手を洗われそうな気がする。  エースの色の薄い目が俺をじっと見て、ふっと前髪を吐息で避けた。 「それで、どうする?」 「キスしながら、体を触り合ったよ」 「どんな風に触れたんだ」  エースの声は静かで、その静かな声の裏側に膨大な熱された感情がわかる。俺は空唾を飲んで、エースのシャツのボタンを外していった。そして、彼の肌に触れる。鍛えられていて固い男の体で、あの日触れた女の肌とは似ても似つかなかったけれど、あの柔らかさよりこの固さの方が好みだと分かっていた。  俺はそっと逞しい体を撫でた。 「くすぐったいな……こんな触り方をするのか?」 「女の子は壊れ物だろ」 「そうだな。オレも、そう聞いてる」  可笑しそうに喉奥で笑い、その笑いが俺には恐い。今にも爆発するんじゃないか。俺はそっと愛撫したし、エースは面白そうな表情で俺の愛撫を受け入れていた。固い胸乳を下から撫でる。 エースが笑う。 「じゃあ、次はこっちの番だな」  宣言し、俺の両手を掴んで一息、俺の外したスカーフで纏めて縛ると、あっと思う間もなく俺の胸に顔を伏せた。 「えっ、エース!……」  ぢゅうう、と乳首を思い切り吸い上げられて、つうんとした痛みに似た快感が背筋を駆け抜けた。エースの手が俺の腰から脇腹にかけて武骨な仕草で撫でさすり、そこが性感帯の俺の体は弓なりに反っていた。  吸って、舐めて歯を立て、俺の乳首がどうなっているのかを見て、また吸い嬲る。片方をじっくりと立てたら、もう片方も同じように愛撫された。まるで獣にされているようで、俺は緊張とかすかな恐さで胸を高鳴らせていた。  不意に、エースが股間に触れて来た。胸がぎゅうっと切なく痛んだ。 「女の子はお前のここをどうした?」 「楽しそうに弄ってた」 「へえ、触らせたのか。楽しそうに?いいな、オレも触りたい」 「いいよ」 「そうか?」  エースが俺のトラウザースのファスナーを開いて、下着ごと思い切り下にずり下げ、俺のあそこはあらわになった。色も形も悪くないはず、エースは俺のをじっと見て、そっと触れた。 「女の子はどう触っていた?」 「優しかったよ」 「そうか。こんな風に?」  固い手が擦りつけられて、俺は喘いだ。  中ほどから先端まで扱かれ、キスされる。俺はキスにしゃぶりついた、女子たちは俺のあそこをキスをしながら弄ってくれたのを思い出す。花の香りのする女子のたおやかな愛撫より、男くさいエースの手の平に弄られるのが濃厚で好きだった。  だけどそうとは言えずに、俺は彼とのキスでとろけながら股間を高ぶらされていた。 「はぁ、あぁ、エース……出ちゃう。出ちゃうよ」 「まだだめ」 「え……」 「女の子たちはこういう事は言わなかった?」 「……言ってた」 「楽しかった?」 「うん」 「そうか。オレもレイドと楽しみたいな~。えっちなことしちゃおうか」 「もうしてるだろ。なあ、それあまりすると出るから、エース、もう本当に……」 「まだだめ」 「っ……」  つうっと指先が根元から先端まで弄られて、あそこがびくびく震えた。たまらない、焦らされている。エースが間近で笑っていた。親指と人差し指を輪にして、根元から中ほどまでを扱き立てられる。 「うっ……ううっ、だめ、だってぇ」 「そんなことないだろ。すごく動いてる、嬉しそう」 「それはっ、そうだけどっ、俺いきそうでっ」 「まだいかない。なあ?」  今度は俺の先走りを手のひらにして、濡れた先端をくりくりと撫でられる。 「あ、あん、それぇ、エース……」 「ここ。好きそう」 「ん……っ、ぐりぐりすんな」 「やっぱり好きなんだ」 「あ、あ……」 「ここはどう?」 「好き……そこ、好き」 「そうだよな」  俺の先っぽを弄り回して、エースは楽しそうにオレを追い詰めた。気持ち良さで追い詰められるのは初めてだった。俺の先っぽから、先走りがどんどん出てきてエースの手を濡らしていた。濡れた手でくちゅくちゅと先っぽを甘く扱かれてから、くりくりと先端だけ手の平で弄られる。 「あ、あ……」 「これ、好きか?」 「やだっ、こんなの」 「なんで。ここ動いてる。嬉しいんだろ?」 「や、やっ、エース、えっち」 「そうだよオレえっちだよ。レイドのここのこと、もっと知りたい」 「ア~ッ……」  先っぽが真っ赤に腫れたみたいにジンジンしてくる。エースの固い手のひらに擦られるたび、先っぽが敏感になっていく。先走りはとめどもなく出て、今にも射精しそうになると手が離れ、お預けになり、指先だけがつうっと表面を撫でていく。俺は腰を震わせてエースの好きにされてしまった。  自分の手で触れないもどかしさがたまらなかった。  エースは先走りで手を濡らしながら、鈴口を指先でぐちぐちと穿るようなことをする。それも気持ち良くて、頭の中がピンク色に染まっていた。 「じっとしてたら天国を見せてあげる。って言われた?」 「しらないよ、そんなの、言われてない多分……」 「へえ、言わなかったのか。ここ、気持ちいいだろ?」 「燃えてしまいそう」 「もっと気持ち良くしようか?」 「どうして?」 「レイドのここ、女で気持ち良くなったんだろ?だから今度は、オレの手で気持ち良くする」  やっぱり嫉妬してるのか、よくわからない。エースは楽しそうに俺を責めていた。あそこの先っちょを、親指と人差し指を輪にしてちゅくちゅくと扱いたかと思ったら、指先でつうっと雁首のえらのまわりを辿られる。自由にならない手で手を握り、快楽を堪える先から溢れて止まらない。  ちゅこ、ちゅこ、と甘く弄られながら俺は体が自由にならないか藻掻き、エースに抑え込まれた。俺が藻掻くと、エースの責めがきつくなることに初めて気づいた。 「や、あぁあ!そ、それだめ。だめぇっ……」 「何もだめなことないだろ。レイドのはうれしいって濡れてる。気持ちいいだろ?」 「そ、それは……それはいいけど」  エースは分かっていながらオレのあそこを、中ほどから先端にかけてくちゅくちゅと扱いた。その扱き方がうまくて、俺はあっというまに出しそうになった。するとエースはすぐ手を引いてキスをする。  キスに持ち込まれて、そこでも濡れた感触で舌で舐め合う。エースが間近で、ふっと耳元に吐息をかけて、それで俺は背筋がぞくぞくとして、変な声を上げてしまう。獣耳を撫でられて愛撫されると、頭の中がふわふわしてしまう。 「ふぁ、」 「レイド……気持ちいい?」 「うん、いい。すごく、いいからっ……」 「いいから、何?」 「出したい」 「え~。どうしようかな……レイドは出したい?」 「うん」 「でもオレ、女の子より気持ち良くないかも知れないしな……」 「そんなことない。エースの方が気持ちいい」 「そうか?」 「エースの方が、えっちだよ」 「そうか。オレの方がえっちか、そうかあ……いきたい?」 「ん、んー……いきたい」 「どうしようかな」 「ね、ねえ、いかせて……おねがい」 「どうしようか。こうしてる間、お前がすごく可愛いから、もう暫くこのままでもいいな」  意地悪なことを言う。俺がいきたいって言ってるのに、無視して自分の好きなようにしようとしている。焦れるあまりに、俺はエースの体に甘えるようにしてお願いしていた。 「なあ、出したいから。入れていいから」 「ん?」 「出させてくれたら、俺に入れていい」 「え、いいの?」 「うん」 「へえ……」 エースの目がにやりと笑んだ。 「オレが欲しい?」 「欲しい。ねえ、出させて……」 「いいよ。レイド、もう一回おねだりして」 「ん」  ついばむようなキスが気持ちいい。エースは指先で俺のあそこをぐずぐずに甘やかすような扱き方をして、そういうことをされながら俺はエースの言うおねだりをした。 「お願い、出させて……俺に入れていいから、お願い」

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