69 / 69

番外【R18】バディの居ぬ間に②

「……桜、直桜。大丈夫ですか? わかりますか?」  護の声が、遠くで直桜を呼んでいる。  意識がふわりと浮かび上がって、目の前に護の顔があった。 (護……、これも俺の妄想かな。夢かな) 「護、ごめん。シーツと枕、いっぱい汚しちゃった。玩具、試したら、手枷、絡まって、動けなくなって、猿轡も外せなくて、それで」  目の前の護が崩れ落ちて脱力した。 「自分でやったんですか? 誰かに強姦でもされたのかと思いましたよ」  強く唇を押し当てられて、きつく抱き締められた。 (あれ? あったかい。もしかして、本物?)  気が付けば、話せる。猿轡が外れていた。手枷も頭上の留め具から外れている。 「護、いつ帰ってきたの? 俺、どれくらい、このままで……」 「帰ってきたのはついさっきです。声を掛けても返事がないし、部屋にもいないし。まさか、私の部屋でこんな姿になっているなんて」  部屋の時計を眺める。  直桜が護の部屋に入ってから、数時間しか経っていなかった。 「予定より早く帰ってこられて、良かった。予定通りだったら、あと二日、この状態でしたよ。一体いつから、こうなっていたんですか」 「多分、二~三時間だと、思う」  本当に良かったと思う。  あと二日、あの状態でいなければならなかったと考えると、背筋が寒くなる。 「玩具、感じすぎて、怖い。護のがいい」  護の腕に掴まる。  ベッドの状態と直桜を眺めていた護の腕が、直桜の尻に伸びた。入ったまま動きを止めているアナルプラグを護の指がぐぃと押した。 「ぃ!」  思わず背筋が伸びた。 「こんなにシーツを汚して、何回イったんですか? 私としている時より、悦かった?」  ぐりぐりとアナルプラグを穴の中で掻き回されて、ビクビクと腰が震える。 「ちがっ。護のほうが良い。今すぐ、護のちょうだい。護ので、中、ぐちゃぐちゃにして」  涙目で、護に請う。  護が薄く笑んで、ごくりと喉を鳴らした気配がした。 「もうすっかりぐちゃぐちゃですよ。これ以上、シてほしい?」  アナルプラグを引き抜いて、護の指が直桜の中を掻き回す。 「あ! ぁあ! ほしい、ちゃんと護ので、イきたい」  護の手が直桜の腰を起こす。  四つん這いにして、腰を引き上げた。 「こんな直桜の姿を見たら、我慢できませんよ」  護の硬い先が、直桜の後ろの口に押し当てられた。  それだけで、期待が体中に広がる。 「ぅぁっ、護、早く、シて、お願い」 「今日はいつもより欲しがりですね。そんな直桜も可愛いですよ」  ぐん、と護の腰が動いて、熱くて硬い肉棒が直桜の奥を突いた。 「ぁぁあ! きもちぃ、護、もっとぉ」 「中がすごいですね。柔らかいのに、畝って絡みついてくる。すぐに出ちゃいそうです」 「ヤダ、ヤダ、いっぱい突いて」  首を振る直桜を護が後ろから抱き締めた。 「随分、我儘なんですね。一週間くらい待てると言っていたのに、五日しか待てなかったんですか?」  耳元で囁かれて、体が震える。 「そんな、つもりじゃなくて。護にご飯、作っておこうって、おもってっ」  緩く擦られて、男根がびくりとしなる。 「ご飯じゃなくて、後ろを準備して待っていてくれたんですね。それじゃ、直桜をじっくりといただかないと」 「ゆっくり、しないで。強く、突いて」  バイブの緩い刺激が長かったせいか、刺激が足りなくてもどかしい。  腰が揺れて、無意識に護の男根を根元まで飲み込もうとする。 「たまには甘やかしてくれるんでしょう? 直桜に会いたくて頑張って急いで仕事を終わらせて帰ってきたんですよ。今日は直桜が私を甘やかしてください」  するりと顎を撫で上げられて、自然と後ろを振り向いた。 「どう、したら、いいの?」  ぼんやりと護を眺める。  護の腕が直桜の体を反転させて、抱き締めた。そのまま、ごろりと横になる。上に乗った直桜の腰を護が支えた。 「直桜が動いて、イかせてください。頑張って働いた私に、御褒美ください」  ニコリと微笑む護に、直桜は頷いた。 「わかった。護がしてほしいこと、いっぱいする」  手を伸ばして護の頬を包み込む。唇を貪って舌を吸い上げた。首を食んで胸の突起に舌を這わす。指でくりくりと刺激しながら舐め挙げる。  その間も、ゆっくりと腰を動かして自分の中で護の熱い男根を扱く。 「ぁぁ、直桜、気持ちいいです。今日の直桜は、とってもエッチですね」  護の長い指が直桜の髪を掻き上げて顔を撫でる。 「こんなに蕩けた顔で、一生懸命、御奉仕してくれる直桜、可愛いですよ」  頭を撫でられながら、直桜は護の尖った芯を食んだ。  護の言葉が魔法のようで脳に沁みる。 「もっと、もっといっぱい、護のこと、気持ちよくしたい。護、好き。俺で気持ちよくなって」  腰を上下して、自分から護の男根を奥まで捻じ込む。  護が気持ちよさそうに顔を顰めるのが嬉しくて、腹の奥が快楽で満たされる。 「玩具を使うと、直桜はこんなに前後不確かになっちゃうんですね。使い方、気を付けないとね」  護の手が直桜の男根に伸びる。柔らかく包んでゆっくりと扱く。  緩い刺激が少しずつ快楽をせり上げる。 「あ、ダメ、まもっるっ。それしたら、またイっちゃうっ」 「何回でもイっていいですよ。玩具では、何回イったんですか?」  護の手の動きに合わせて、腰を動かす。 「わかんない。途中から、記憶ない。覚えてるのは、五回」  息が荒くなってくる。  護が嬉しそうな顔をした。 「玩具で五回もイったのに、私のも欲しいんですか」 「欲しい。護のじゃなきゃ、ヤダ。護のでイきたい。玩具じゃ、嫌だ」  護の熱い先が奥に届いて、違う快感が背筋を駆け上る。 「ぁ、コレ。これじゃないと、護じゃないと、満たされない、から。護も、俺で満たされて」  護の腕が直桜の腕を掴んで引き寄せた。  抱き締めて転がり、上と下が入れ替わる。 「どうして直桜は、そんなに可愛いんですか。もっと攻めて、ドロドロに気持ちよくして、私だけの直桜にしてしまいたくなる」  直桜は護の首に腕を回した。 「もうとっくに護だけの直桜だよ。もう、護から離れられない。全部、護のだよ」  護の唇を強く吸う。  それ以上に強い快楽が、直桜の腹の中を突きまわした。 「直桜に甘やかしてもらうはずだったのに。俺が、我慢できない」  鬼化して体躯が大きくなった護が、直桜の体を縛るように抱き締める。  腰が激しく動いて、何度も直桜の最奥を突く。 「あ! ぁあ! まもっ、ダメ、出るっ」 「いっぱい出して、直桜。何度でも、気持ちよくなって」  腹に溜まっていた快楽が硬くなった先から吹き出した。 「潮吹くくらい良かった? もっと悦くしてやるから」  唇を覆うように吸ったまま、奥を突かれる。  息が巧く出来なくて、視界が涙で歪む。しがみ付いた背中に爪を立てていた。 (あ、奥、ハマって、またイク、イってる。イってるのに、とめてくれな……)  ぴたりとくっ付いた護の腹を直桜の白濁が何度も汚す。 「すごいな、直桜。俺も、もう何回かイってるけど、やっと収まりそう。最後に奥に出すぞ」  必死に頷いて、しがみ付く。  護が最後に出す時は、いつも必ず最高の快楽の波が来る。  強く腰を押し当てられて、奥を貫かれた気がした。  目の前にチカチカと花火が散って、一瞬、頭の中が真っ白になった。 「……はぁ、直桜の中、今までで一番、気持ちが良かったです」  鬼化が解けた護の声で、我に返った。 「俺も、こんなに、わけわかんなくなったの、初めてかも」  頭が麻痺したようにぼんやりして、思考がうまく回らない。 「これからは、前戯で玩具、使いましょうか」  ニヤリと悪戯に笑われて、首を振った。 「もうしばらくは、使いたくない。感じすぎて、怖い」 「でも、直桜の中、トロトロに解れてすごく気持ちよかったですよ」  護にそう言われてしまうと、何も言えなくなる。  確かに、最中に無意識で鬼化するくらいだから、護も興奮していたんだろう。 「護が、気持ちいいなら、ちょっとくらいなら」 「冗談です。無理しなくていいですよ。直桜が嫌がることはしません。興味が湧いたら、使ってみましょう。一緒にいる時にね」  護が直桜の腕を掴んで起き上がらせた。 「このまま寝かせてあげたいですが、今日はこのベッド使えないので、一緒に直桜の部屋で寝ましょうね」 「うん、ごめん」  直桜の精液と唾液と二人の汗でどろどろだ。  明日は自分で洗濯しようと心に誓った。 「謝らなくていいから、別の言葉をください」  護が直桜をじっと見つめる。  一瞬、戸惑った直桜だったが、同じように護を見詰めて微笑んだ。 「おかえり、護。仕事、お疲れ様」 「ありがとうございます。ただいま帰りました」  唇を重ねて、触れるだけのキスをする。  抱き合って、互いの熱を確かめ合う。  この場所が二人の帰る場所なのだと、改めて実感できた。 【補足情報】  護さんは興奮すると無意識に鬼化します。鬼化すると性格が開放的になったり好戦的になったりします。それに伴い話し方も若干粗野になります。そのあたりの鬼化コントロールを第Ⅰ章後半で梛木としていたわけで、意識的にコントロールも出来ます。でもやっぱりエッチ中の直桜が可愛いと興奮して鬼化してしまうのは本能だからどうしようもない。SMプレイをするようになってから鬼化は減りました。直桜が「いつもの護」とエッチするのが好きだから鬼化しないように頑張ってる護さん。可愛い。

ともだちにシェアしよう!