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エピローグ2 アーカイブスの始まり(♡)

「ちわ~っす、ご注文の壺、お届けに上がりました~」  アオは、大きな壺を抱えながら掘り下げられたスロープを足を滑らせないよう慎重に下って、戸口を覗き込んだ。 「……勝手に入って置いてけ」  薄暗い竪穴住居の中から、依頼主であるアカツキの不機嫌そうな声が聴こえた。  もしや寝ているところに邪魔してしまったのだろうかと静かに足を踏み入れると、アカツキは壺の上に腰かけ、膝の上にソラを跨らせて抱いていた。  ソラはアカツキの胸板に頭を寄りかからせ、肩につかまっている。尻までかかる長い三つ編みが、アカツキの膝の上でかすかに揺れていた。潤んだ瞳で黙ってこちらをちらりと見ると、スッと目を逸らした。 「……」  アオは、いったん頭によぎった想像を打ち消した。  アカツキがソラと二人で暮らし始めたのは、お互い好き合っていて、日々まぐわうためだと聞いてはいる。  しかし具体的にどうしているのか、誰も聞いた者はいない。  抱っこしているだけだろう。二人とも服を着ているし、肝心な部分は上衣で隠れていて見えないし。  なんとなく汗と何かの混じった匂いがするような気もするが、気のせいだ。うん。  アオだってわずか10年かそこらしか生きておらず、誰ともまぐわったことがないのだ。  気を取り直して、イズミが作った精緻な文様の壺を壁際にそっと置いた。 油を入れておく壺だと聞いていたが、こんなに大きいのが必要なのだろうか。まあ、アオの知ったことではないけれど。  その時、熟れた果実をつぶす時のような「ぐちゅっ」という音とともに、 「んっ……」  と甘く潤んだ声が聴こえた。  ソラから聴こえたような気がするが、気のせいだろう。  アオが戸口まで後ろ歩きでそろそろと後ずさり、おいとましようとした時、  ぽたっ……、ぽたたっ……、と何かが地面に垂れて、白い液体が染み込んでいった。  思わずソラの顔を見ると、目をぎゅっと閉じて頬を染め、はぁ、はぁ、と肩で息をしている。  ──たいへんだたいへんだへんたいだへんたいだーーっ!!  慌てて逃げるように戸口から出て、アオは速やかに──  竪穴住居の裏側に周り、ネズミが茅葺に穴を開けたりしてはいないかと、目を皿のようにして探した。  ◇ ◇ ◇  数十分後──。  ──すごかった……。  アオは身も心もギンギンで家路についた。  目を見開き、右手と右足を同時に出してギクシャクと歩くしかできない。  アオがイズミに抱いていた気持ち──それはこのためにあったんだ。  今はまだ無理だ。アカツキみたいに、立ち上がって首に手を回したソラの尻と背中を持ち上げ、腰だけ動かしてマラ棒で尻の穴を突く、などということはできない。筋力持久力、あと多分マラ棒の大きさ、すべてが足りない。頑張って鍛えなければ。  そしてなるべく早く大きくなって、ソラみたいに……いや、もっともーーっと、イズミをアンアン言わせて気持ちよくさせてあげよう。  自らの性指向に気づいた少年は、弾んだ心を押さえきれず、全力で走り出した。 ≌≌≌≌≌≌≌≌≌≌   おしまい ≂≂≂≂≂≂≂≂≂≂

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