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第4話
花見に行こう、と宮本を連れ出したのは、春たけなわの桜の花見にだった。
少し冬向きのコートを着た宮本は、やはり体躯が良くてカッコいい。
俺は、宮本と手を繋いでゆっくり歩いた。
「宮本、桜の花言葉はなんだ?」
宮本が答える。
「精神の美、とか、純潔、とか。心のあり方にかかわる言葉かな。」
「じゃあ、俺たちには全く似つかわしくない言葉だな。」
俺はローターのスイッチを入れる。
宮本は、コートの下は裸だ。身に纏っているものといえば、ローターだけ。
「ん、」と、宮本が反応する。
全く、可愛い奴め。なんでそうホイホイ、俺の変態プレイに付き合ってくれるかな…
そもそも、そこは性器ではなかった。それを無理矢理に、俺は開拓した。最初、宮本は痛みをこらえながら俺を受け入れてくれた。で、段々に、俺はそこを調教した。愛してると言いながら犯したり、念入りにいじり回してみたり、道具を使ってみたりとか、時間を掛けたりした。
最初、宮本をMと知らなかった俺は、調教をねだる宮本に、なんだか悪いような気がしていた。だが、今になってわかる。宮本は、俺と確かな絆を作るためのその儀式を、悦んで受け入れていたのだと。
もはや俺が帰って来るだけの可愛い宮本の子宮 は、快感を感じる穴だった。二人が快感で繋がれる子宮 を、今はローターが犯している。俺の代わりになって、ずっぷりと宮本の身体 を犯し、宮本を快楽で支配する。
お願いだから、と、宮本は小声で囁く。
「もう、我慢できないのか?ダメ犬だな。」と俺が揶揄うと、宮本は俺の唇にキスをして、言った。
「ああ、ヒロの代わりなんていないよ。だから、だから…」
結局夜まで焦らして、深夜の夜桜バックにセックスした。桜の下は、なんだか冷え冷えとしていて、俺たちはお互いしかいないみたいな気持ちになって抱き合っていた。
気がつけば、宮本の頬を涙が伝っていた。
「痛かった?」と聞いたら、
「いや、なんだか、ヒロも俺もいつかは死ぬんだな、と思って。そうしたら、なんだか。」と言っていた。
どっかの作家は、満開の桜の下には狂気と寂しさがあると言っていた気がする。それを感じ取る宮本を、俺は優しく慰める。
宮本の額にキスして、頬の涙を吸う。
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