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倒産
そして、開口一番にお父さんが「お父さんの会社…倒産しちゃいそうなんだ…もう崖っぷちの崖ぷち…取引先に見放された…」
ってことは…
「あぁ、ダジャレじゃないよ。ダジャレでありたかったよ…フハハハ」と乾いた笑いをしたあと、姉ちゃんも泣きそうな顔をしながら「彼氏と別れた…しかも、彼氏の浮気…悔しいのと悲しいので死にそう…」という早速不幸が舞い込んできた
そんなに早く不幸が…
絶対、あの人のせいだ!そうに違いない!
勝負するとは言ったものの…運命の番をいじめるのは楽しいのだろうか…
やっぱり…性格の悪いクソアルファだなどと考えているとお母さんが「まぁまぁ、美味しいご飯でも食べて、忘れましょ!」と言ってくれて、家族全員で、ご飯を食べるもお葬式状態でありいつもはおいしいお母さんのご飯も味がしない
けど、うじうじしてたってなんにも変わらない
戦に行くのも飯が必要…?確か、腹が減っては戦はできぬ?だったけ…多分
頑張らないと!と決めたものの…学校に行くと
奏くんが、自分の席で俯き暗い雰囲気が漂っている
心配で声をかけると泣きそうな顔をしながら「いとくん、僕ね…もしかしたら転校するかもしれない…」
まさか…これも…
「しかも、転校先シベリア」
シ、シベリア!?
国内じゃなくて海外!?
「二週間後ぐらいにお父さんの転勤が決まるんだ。もし、そうなっても、ずっと友達でいてね…」と言われた
二週間後って…まさか、奏くんにも被害が及ぶなんて…
家族だけだと思ってた…。家族も大切だけど、まさか奏くんにまで…
ってことは僕が、アルファ嫌いを克服すれば奏くんはシベリアに行かなくても良くなるし、家族だってバラバラにならない
こんなの思うつぼだ。2週間経てば、あの人は奏くんにも関わらなくなる。僕にも
けど、僕に関わらなくなるだけで、奏くんには腹いせにシベリアに行かすかもしれない
お父さんだって無職に…
けど…諦めたくない
そう思ったけど…オメガにも平等に優しくしてくれていた好きな先生が転勤するみたいだし…奏くんが好きなというかみんなが好きな購買のメロンパンも…体育もほぼ全部持久走しろとか言われたり…みんなの大好きな席替えだって修学旅行だって…全部近場になってしまった
僕のライフゲージはゼロだ
おまけに、校門まで柊さんの秘書らしき人がむかえにきた
「いとさん、柊社長の秘書です。柊社長がお待ちです。行きましょう」と言われた
僕が諦めれば全てが丸く収まる。それに確かめたいことがある。だから「わかりました」と言って素直について行く
秘書さんに案内されて車に乗った
秘書は助手席で、僕は後部座席に座った
「ついてきてくださってありがとうございます。まさかここまですんなりついてくるとは思いもしませんでした」
「僕、確かめたいことがあるんです」
「確かめたいこと…とはなんでしょう」
「勝負の内容、知ってますか?」
「概ね聞いております」
「僕が勝負に勝ったら、柊さんは関わらないって言いました。けど、友達とか家族とかも関わらなくなるのかなと思って…それを確かめにきたんです」
「そうでしたか…」
それから、なんの会話もなく東京の中心部にあるビルに到着した
「こちらです。どうぞ」と秘書さんからビルに案内された
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