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やめろよ。そして睨むな

 朝からバタバタしたせいで疲れていた俺は教室でぐったりしていた。すると、思わぬ人物に声を掛けられた。 「おい秋山、ちょっといいか?」 「へ?お、俺?」  思わず声が裏返る。そう、戸塚だったんだ。  釣り上がった目で見下ろされてめっちゃ怖いんですけど!まさか朝中西にたかろうとしたのバレたのか?  慌てて後ろの席を確認するけど、中西は不在だった。 「直登にはバレたくない。場所を移そう」 「……おう」  中西には言えない事?じゃあ朝の事じゃないのか。少しホッとして後をついて行く事にした。  それにしても戸塚って難しいよなぁ、俺は好かれてないの分かってるけど、クラスでも中西以外と話してるの見た事ねぇし。こうして一対一で話すのって初めてじゃね?  廊下のベンチまで来て少し距離を空けて座った。 「今週の金曜日、直登の誕生日なんだ」 「あ、そうなの?へー、おめでとう」 「…………」 「いやいや、だから何?まさか俺に誕プレの相談とかしねぇよな?」 「違う」 「だったら何?」 「パーティー」 「は?」 「前もって欲しいものを聞いたら、四人で飲みたいって言っていたんだ」 「あ、なるほどね!誕生日パーティーを開きたいって事ね!」 「そうだ」 「いいじゃん。でも当日は二人きりで過ごすんだろ?なら土曜にするか?」 「いや、むしろ土日の方が二人きりで過ごしたいんだが」 「そ、そうですか!んじゃ金曜日、学校終わったらやろうぜ!こういうのは早川のが上手そうだから話してみるよ。中西には内緒って事はサプライズにしたいんだろ?」 「ああ、直登は……秋山の事が好きみたいだから喜ぶと思うんだ」 「や、やめろよ。そして睨むな」 「必要な物や費用など、全て俺が持つから、とにかく、頼む」 「了解!そう言う事なら協力すんぜ~」  へー、戸塚もいいとこあんじゃん。まぁ準備とかは早川に任せればいいし、後は中西にバレないようにしなきゃな。  にしても戸塚と初めてこんなに話したけど、案外悪い奴じゃないかもな。  いや、戸塚は俺の事ぶん殴りたいぐらい嫌いかも知れねーけどな。

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