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すね毛はヤバいよ!

   赤いリボンにヒラヒラした青いスカート。  俺は人生初のセーラー服の女装をしていた。 「ギャハハ!貴哉ヤバい!ウケる!」 「アハハ!おへそ出てる!ちょ、笑い死にそう!」 「見苦しいな」  三人からそれぞれの感想を言われた後、改めて自分の格好を見てみる。肩はパツパツで動きにくいし、丈が足りなくて空気にさらされたヘソ。スカートは短すぎてパンツ見えてるし、これマジで罰ゲームだな。 「フンッ約束通り着てやったんだ!文句言ってんな」 「ちょ、女子高生が椅子に足上げないの!パンツ丸見え……ギャハハ!」 「セーラー服で、すね毛はヤバいよ!貴哉最高!」 「黙れ!次お前らに着させるぞ!」 「さーて、命令聞いてもらいましょうか貴哉ちゃん♪」 「いつでも来い!俺様に出来ない事はねぇ!」  もうヤケクソだ。俺も男だ、ここまで来たらとことん筋通してやらぁ! 「空くん、何命令するのー?」 「そうだな~。空様に一生ついていきますって言ってキスしてもらおうか♡」 「はぁ?キスだぁ?」 「なっ!ダメ!それはダメ!」 「てかそんなん誰が喜ぶんだよ。男同士のキスなんて……」  あ、戸塚の視線が痛い。振り向かないようにしてると、中西が俺の前に立って両手を広げてた。まるで俺を守るようなポーズ。なんで? 「中西、ジャンケンで勝ったの俺だよ。どうして邪魔すんのー?」 「だ、だってキスは大事な人とするものだろ!簡単にしちゃダメだ!」 「おー、中西の言う通りだー」  よく分かんねーけど、中西が味方してくれるみたいだからそのまま任せる事にした。 「中西さ、ちょっと貴哉に肩入れしすぎじゃない?見てよ戸塚の辛そうな顔」 「え……」  俺にはいつもの鉄仮面にしか見えないが。二人から見たら辛そうに見えるのか。 「中西には戸塚がいる。だから俺と貴哉がキスしても問題なくね?」 「っ……ある!」  あれ、早川と中西が睨み合ってる?てか何で喧嘩してんのこいつら。今の内に着替えちゃおうかな。 「あるって何が?どう関係あるんだよ?」 「それは……俺は……」 「そこまでだ!」  早川にけしかけられて中西が何かを言おうとした所で戸塚が珍しく大きな声を出して二人を止めた。そして不機嫌そうに言った。 「もうお開きだ。二人共出て行け」  鉄仮面はそう言い放って、中西を連れて部屋から出て行ってしまった。  こえー。敵に回したくねぇタイプだな。   「早川?戸塚は何でキレてんだ?」 「知らない。帰ろう貴哉」 「ちょ、おい?」  訳が分からないでいると、早川に腕を引っ張られて戸塚の家から連れ出された。

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