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早川はそんなゴネなかったぞ!
中西母が出てった後も笑い続ける中西。そろそろキレていいか?
「あはは!貴哉ってば最高ー♪」
「てめぇ笑いすぎだろ!」
「俺ね、ギャップがある人が好きなんだ。貴哉って見た目ヤンキーなのに、ヤンキーっぽくないんだもん」
「あ?ギャップだぁ?」
「ヤンキーなのに優しいし、可愛いんだもん♡あはは!」
「馬鹿にしてるだろ!」
「してないよ。だから貴哉の事を好きになったんだよ」
フワッと笑う中西。あー、黙ってればいい男なのになぁ中西って。女が好きそうな、王子みたいな顔。正直俺らの中で一番顔整ってんじゃね?
そんな中西からの告白。よし、ちゃんと断るぞ。
「待て。まず謝らせろ」
「ん?ああ謝りに来たとか言ってたね」
「昼間は言い過ぎた。悪かったよ」
「うん。俺も、空くんばかり甘やかすからヤキモチ妬いちゃった。ごめんね」
「おう。これで仲直りだ。それと、中西とは付き合えねぇ、だから諦めろ」
「どーして?他に好きな人いるの?」
「いねぇけど、中西の事は友達以上に見れねぇからだよ」
「それならゆっくり好きになってくれればいいよ♪だから付き合おう♡」
「軽!何だよその軽さ!本当に俺の事好きなのかよ!?」
「好きだよ。俺ね、貴哉に好きになってもらう自信あるんだ~」
「俺は中西を好きになる自信がねぇ!頼むから友達でいてくれよ」
「じゃあこうしない?お試しで一週間付き合うの♡一週間付き合って俺の事好きにならなかったら諦めるよ」
「やだ。めんどくせぇ」
「じゃあこのまま好き好き言い続けるよ?」
「それもめんどくせぇ!」
「どっちかにしてよ~」
「なんだよその選択肢!早川はそんなゴネなかったぞ!」
「空くんの好きなんてそんなもんだったんでしょ。一緒にしないでくれるー?」
中西との面倒くさいやり取りにイライラし始めた頃、俺はある事を思いついた。
中西がそんな条件を出すなら俺も何か条件を言ってもいいよな?
「よし、こうしようぜ!一週間経って俺が中西を好きにならなかったら、戸塚と本気で付き合う!それならいいぜ」
「ホント!?付き合ってくれるの?やったぁ♡」
「勘違いすんな!一週間だけだ!」
「絶対惚れさせてみせる!貴哉大好き~♡」
「うおっ!やめろ抱き付くな!」
俺が出した条件分かってんのか?ってぐらいはしゃいで喜ぶ中西は抱き付いて来た。
もしかして、こういうのもしなきゃダメなのか?
「付き合ったら抱きしめ合うのは当たり前だろ?それと、下の名前で呼んでよ♡彼氏なんだから」
「……下の名前なんだっけ?」
「うわっ普通にショックなんだけど!直登だよ直登!」
「そう言えば戸塚が呼んでたな。ん、直登な」
「これからよろしくね~貴哉~♡」
一週間だ。一週間耐えれば俺の勝ち。
とにかく中西……じゃなく直登のペースに持っていかれないようにしよう。
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