39 / 42
ちょっとで壁は壊れねぇよ
教室に戻る時、さすがに一緒だと直登がうるさいから早川より先に戻って来た。
既に直登は戻って来て席に座っていた。
「あ、貴哉~!」
「お帰り。担任なんて?」
「えへへ、実はちょっと学校の物壊しちゃって……初犯だから今回は反省文だけで済んだけど親に連絡はしたって」
「壁壊したってマジ?何でそんな事したんだ?」
「え、誰かに聞いたの?」
「ん、ああまぁな!」
「うーん、実はずっとストーカーに付き纏われててね?その時も言い寄られてて、危なかったんだ。だからちょっと本気出したら壊れちゃったの」
「ちょっとで壁は壊れねぇよ。てかストーカーとかいたのかよ!」
「いるよー。いつも適当にあしらってたんだけど、春くんと別れたって知って調子に乗ったみたい」
「お前も大変だな」
「これからは貴哉に守ってもらうー♡」
「俺なんかより直登の方がつえーだろ」
「なるほどね!一見貴哉は喧嘩強そうで実は弱かったって凄いギャップだもんね♡いいねそれ!」
「直登が喜ぶなら何でもいいよもう」
「何でも!?」
「おー、それが付き合うって事なんだろ?恋人の喜ぶ顔が見てーって思ったり」
「貴哉ぁ♡俺嬉しい!」
俺も自分で驚く程心が穏やかで、いつもはイライラする直登の相手もすんなり受け入れて普通に会話する事が出来る。
早川との屋上での出来事があってから心が落ち着いた感じだ。
「じゃあさ、今日デートしよ♡クレープ食べたい♡」
「いーぜ。食おう」
「貴哉だーいすきぃ♡」
「うっ……そうですか」
あー、引っ付かれるのはまだ慣れねぇなぁ。
ま、その内慣れるか……
放課後にどっか寄って遊んだりとかなら今まで普通にして来たし、何の抵抗もない。そんなんで喜ぶなら楽勝だ。
それよりも戸塚だよなぁ。俺は戸塚と寄り戻して欲しいんだけど、上手くいかねぇんだよな。
なんせ鉄仮面があんなんだからよぉ。
俺の事嫌ってるから近寄りにくいし。
戸塚がもっと出て来て直登を攫ってくれりゃ話が早いんだけどなぁ。
ともだちにシェアしよう!