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ペアの物とか仲良しの象徴だもんね

 次の日から俺は二人を無視し続けた。  朝は直登が早くに起こしに来たから一緒には登校したが、一言も話してない。もちろん早川とも。 「貴哉機嫌直してよ~」 「中西が駄々こねるからだぞー」 「空くんがしつこいからだろ!」 「独り占めしようとするのが悪いんだ」  二人が言い合っていても聞こえないフリ。相手するだけ疲れるからな。 「……なぁ、中西」 「何だよ?」  ん?何か大人しくなったな。チラッと見てみると二人は寄り添いながらコソコソ話していた。 「……てな訳だ」 「いやいや、それ意味ないでしょ」 「うっせ、やるだけやるぞ!」 「はぁ、仕方ないなぁ」  話がついたのか二人は俺の方を向き、ニッコリ笑った。怖っ! 「貴哉くーん、ほらこの通り俺たち仲直りしたから♪な?中西ー?」 「そうだよ貴哉~♪もう喧嘩なんかしないよー」 「…………」 「あ、中西ガム食うか?最後の一枚やるよ」 「ほんと?じゃあ俺はとっておきのチョコあげる」 「そうだ、今日一緒に買い物行かね?お揃いの物買おう!」 「いいね!ペアの物とか仲良しの象徴だもんね!」 「…………」  なるほどな、そう来たか。喧嘩を辞めれば俺が機嫌を直すと?  それならちょっと意地悪してやるか。 「明日」 「何!?」 「明日がどうした!?」  俺が一言喋ると食い付いてくる二人。笑うのを堪えるのしんどいな。 「お揃いの物持ってたらまた口聞いてやる」 「本当か!?」 「ちょ、今すぐ買いに行こう!」  二人は慌ただしく教室を出て行った。まだ学校終わってねぇつーの。まぁいいやほっとこー。  てかオソロの物指定すりゃ良かったな。

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