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空くんのせいだからな!

「なんつーかさ、見てて痒くなるんだよなそういうの」  俺と直登が手を繋いでるのを見て黙っていた早川が口を開いた。  痒くなる?これがか? 「?」 「っ空くん、邪魔しないでくれる?」 「なんだったらさ、俺にやらせてみてよ。中西にとって勉強になるんじゃね?」 「は、早川?」  自信あり気にニヤッと笑って俺に近付いてくる早川。何だかまた嫌な予感がするんだが…… 「空くん!それ以上貴哉に近付くな!」 「そ、そうだ!近付くな!」 「貴哉、おいで」 「!」  お、おいでだとーーー!?  優しく笑って手を出してくる早川。いつもそうやって女を虜にしてるのかチャラ男め!だが残念!俺は男だ。そんな手には乗らない! 「怖くないから。優しくするから」 「あ!」  俺が動かないで警戒していると、ぐいっと近付いてきて腕を握られた。既に優しくないけど、大丈夫か!? 「空くん、いい加減にしろよ」  俺の腕を握る早川の腕を直登が掴んで言った。え、コレどうなんの?俺は直登を応援した方がいいんだよな? 「直登!そのまま引き剥がせ!」 「痛えなぁ、中西離せよ」  早川も引く事なく直登を睨んで対抗していた。  何かまずい空気になってきたよな。俺はどうしたらいいんだ?  いや、もう考えるのも面倒くせぇや。 「二人共」 「え?」 「?」 「どっちも大嫌いだ!今すぐ出てけ!」  そうだ、初めからこうすりゃ良かったんだ。どっちにも付かずにどちらも突き放す。なんて楽なんだ!  二人は驚いた顔してこっちを見て来た。 「てめぇらここが人んちだっての忘れてねぇよな?迷惑だから帰れ!二度と顔見せんじゃねぇ!」 「貴哉……」 「ちょっと!空くんのせいだからな!貴哉怒っちゃったじゃん!」 「こうなったら仕方ないな。帰るぞ中西~」 「やだ!俺は残る!」 「駄々こねるな。自転車で送ってやっから」 「ふんっ!」  最後まで残ると駄々をこねる直登を早川が無理矢理引っ張って連れてってくれてやっと静かになった。  はぁ、疲れた……

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