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二人とも喧嘩するなら他所でやってくれねぇか?

 玄関を開けるとさっきまで電話で話してた早川が笑顔で立っていた。 「空くん!?何で来てるの!」 「何でって近くまで来てたから。それに、貴哉がピンチっぽかったから助けに来た♡」 「早川……」 「ピンチって、空くんが電話してくる前までは楽しく過ごしてたんだ!帰れよ!」 「えー、せっかく来たんだし上がってもいいだろ?なぁ、貴哉」 「え、ああ……」 「ちょっと貴哉!」 「ま、まぁ、いいじゃねぇか三人で遊ぼうぜ~!」  とにかくこの機会を活かして逃げるぞ!  早川を家に入れて直登の肩を押さえてなだめる。正直二人とも追い出したい気持ちだが、ただでは帰らないだろうからな二人は。  二人が勝手に潰し合ってくれれば俺は楽なんだけどなー。  俺の部屋に早川と直登がいる。  何か変な感じだな。 「貴哉~、中西と何してたんだー?中西がさっき楽しく過ごしてたって言ってたけど」 「すっごく楽しく過ごしてたんだから!ねー?貴哉♪」 「んー、まぁクレープ美味かったよな」 「そう!デート楽しかったよね♡また一緒に食べるんだよねー♡」 「おう!今度は違う味が食いてぇな」 「ふーん。クレープねぇ~中学生でも出来そうなデートが楽しかったんだぁ」 「っ何その言い方?俺達には俺達の付き合い方があるんだから口出さないでくれる?」 「なぁ貴哉~、俺が大人のデート教えてやろーか?もっと楽しいぞー♪」 「いや、嫌な予感するから遠慮するわ」 「もー!貴哉に変な事しようとしないで!」 「変な事しようとしてたのはどっちだよ。家にまで来て何やらしい事しようとしてたんだか」 「俺は空くんと違ってすぐに手を出すようなクズじゃないんだよ」 「誰がクズだヘタレ野郎が」 「二人とも喧嘩するなら他所でやってくれねぇか?迷惑だ」 「貴哉!何で空くんを入れたの!」 「何でってせっかく来てくれたし」 「中西、貴哉を責めるな。かわいそうだろ?」 「何良い人ぶってんの!もー腹立つ!」 「直登、落ち着けって。そうだ、トランプでもやるかー?」 「やらないっ」  とうとう直登がヘソ曲げちまったか。確かに早川を家に上げたのは恋人だったら間違ってるよな。 「なぁ、直登。悪かったよ。またデートし直すから機嫌直せよ」 「本当に?」 「ホントホント!」 「はぁ、分かったよ」 「あ、手繋ごうぜ。ここなら早川しかいねぇし」 「え、貴哉……覚えててくれたの?」 「当たり前だろ。その為に家に来たんだろ」 「嬉しい!貴哉大好き♡」  すっかり機嫌を直した直登と手を繋ぐ。早川は黙って見ていた。

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