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ありがとう
ただ黙って俺を見ている戸塚。いつものゴミを見るかのような目。もう慣れたからなんとも思わないけどな。
「コレ、お前のだって」
「何だ?」
「お守り。四人でお揃いだから持っとけよ。直登が一生懸命選んだらしいぜ」
少し大袈裟に言ったけど、間違ってはないだろう。一瞬驚いたような顔をした気がした。直登って聞きゃ受け取らない訳にはいかねぇだろうな。
「本当なのか?」
「マジだよ。俺のはコレ!勉強運が良くなるらしい。早川のは金運で、直登のは恋愛だったかな?んで、戸塚のはコミュ力アップだ」
物覚えの悪い俺だがちゃんとそれぞれの意味を言えたぞ!間違えてないよな?
戸塚は無表情のまま、受け取ったお守りを見ていた。また捻くれた事言われそうだけど、渡せたから満足だった。
「四人の友情の証だ!」
「……ありがとう」
「へ?」
「大事にする」
予想してなかった言葉に呆気に取られてると、発案者の二人が後からやって来た。
今鉄仮面がすげぇレアな言葉発しなかったか?
「貴哉ってば足速い~!体育ではいつもダルそうにしてるくせに」
「あ、戸塚に渡したんだ?」
「おう、ありがとだってよ」
「ちゃんと意味も教えたのー?」
「当たり前だろー♪全部間違えずに言えたぜ♪」
「へー、早速効果出てるんじゃない?」
「……直登」
俺達で話を進めてると、ずっと黙っていた戸塚が直登を呼んだ。
「何?」
「今日、一緒に帰ってくれないか?話したい事があるんだ」
「え、でも……」
戸塚の申し出に戸惑いながらこっちを見てくる直登。戸塚の事だ、何かちゃんとした訳があるんだろう。
「いいじゃん!帰ってやれよ」
「うー、空くん!貴哉に変な事したら許さないからね!」
「おー、ちゃんと責任持って送ってくから心配すんな」
少し納得いかない様子だったけど、戸塚と並んで帰って行く直登。あの二人が一緒にいるの久しぶりに見る気がするな。
何の話かは分からねーけど、戸塚の心に変化があったのは間違いないみたいだな。
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