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初夜(3)
あやすようなキスをされ、股間をゆるく揉まれながら、もう片方の手で生身の胸や腹を撫でられる。ユリウスのとは全然違う、武人の、皮膚の硬い大きな掌に触れられると、触れられた場所の全てが、じんと疼くような、変な感覚がした。
唇、頬、耳たぶ、と辿った唇が、首筋を降りていく。これまで何度もそうしてきたように。それはしっとりとユリウスの肌に吸い付き、馴染んでいる。
胸元に、あたたかな吐息を感じる。
次にされることを予想し、無意識に体が緊張する。
乳首に舌を這わせられた瞬間は、甘い刺激に体がよじれた。
「ふぁっ、……んっ……!」
強く吸われて、ぞくぞくする感覚が背筋を走る。
男の中でも、更に薄いほうと思われる痩せた胸板なんて、彼にとっては何の興奮もないだろうけど。されるほうはそうではなかった。平べったい男の胸でも、愛撫でこんなにも感じてしまうものだとは思わなかった。
「ヒートのとき、自分で弄ってたのか?」
質問の意味が最初はわからなかった。
左の乳首から右の乳首へ、ラインハルトの唇が動く。
唾液に濡れた浅いふくらみを人差し指と親指で軽く抓り、捏ねくりながら、上目遣いで見上げてくる。
そこで初めて、「弄ってたのか?」というのが乳首のことだと理解した。
羞恥で体温が上がったせいか、また微かに甘い香りが濃くなる
「してない……です……」
「そのわりには感じやすいみたいだな」
胸から臍、脇腹へと唇が下りていく。
下着 の薄い布を押し上げ、ほぼ真上を向いている性器はスルーされた。足の付け根を撫でられ、太股を吸われる。
オメガの体は、発情期 が始まると、男でも後ろが濡れる。後孔に、女性が男性を受け入れるときに出るような蜜液が分泌されるのだそうだ。
今日ほど、それを実感したことはなかった。
下着 だけでなく、その下のシーツも、背中まで濡れている。それに、殿下がこの部屋に来てからずっと、中の肉壁が蠢き、痛いほどにじんじんと疼いている。
オメガの後孔 が、アルファを受け入れるための場所であることを、否応なく自身の体に思い知らされる。
……ライニ様が……ほしい…………。
自分が侍従であることも、この行為に恋やら愛やらといった、かつて憧れていたものが一切含まれていないことも、もうどうでもよかった。
早くあそこを、アルファの熱で満たしてほしい。頭の中にあるのは、ただそれだけだ。
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