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二人で過ごす夜

 和久井と何度もキスをした後、寝室に行こうと言われたので寝支度をしてから和久井の部屋へ来た。  これまた広い部屋で、簡易的な机と椅子、テレビとソファと大きなベッド。それだけで無駄な物がないシンプルな部屋だった。てかベッドが大き過ぎる気がする。和久井一人で寝てるはずなのに、サイズがダブルぐらいある広さだった。  二人で横になってもまだ余裕があって、寝返りをうっても落ちる事はな。そう思ってゴロゴロしてたら和久井に捕まって後ろからギュッてされた。 「夏樹が居るー♡幸せー」  そう言って首筋にチュッとキスしてきた。くすぐったくて首を捻ると今度は頭にキスしてた。 「なぁ和久井ー、俺のどこが好きなんだ?」 「全部」 「言うと思った。じゃあ一番好きなところは?」 「えー、まず顔かな。それから一緒に居て楽しいところ」 「それ俺と一緒。俺も和久井と居るの楽しいんだ。なんか安心できるし」 「俺は安心は出来ないなー。夏樹モテるからいつも冷や冷やしてるよ」 「モテないから安心しろって」 「モテモテだよ。夏樹ってそこは鈍いよね。まぁ鈍くて良かったのかな」 「鈍いって馬鹿にしてるよな?」 「してませーん。夏樹に一つお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」 「おう、どんなお願いだ?」 「そろそろ俺の事、下の名前で呼んでくれないかな?」 「え、何で?」 「何でって、恋人なんだから名前で呼び合いたいじゃん。高城くんや澪くんの事は名前で呼んでるのに俺の事は苗字だなんて、なんか負けてる気がして嫌だよ」 「分かった分かった。だから拗ねるなよ律」 「嬉しい!」  名前を呼んだだけで更に強く抱きしめられた。ずっと初めから和久井だったから違和感なく過ごしてたけど、律は気にしてたんだな。お、これでまた恋人っぽくなったんじゃないか? 「夏樹こっち向いて」 「ん」  律に言われた通り寝返りをうって、向き合う形になった。抱き合ったままだから顔と顔の距離が近くてドキドキした。 「本当、綺麗だね夏樹は」 「……ありがとう。律もかっこいいよ」  俺が言うと目を細めて笑っておでこにキスしてきた。律のスキンシップの多さには慣れて来た。こうして二人きりの時なら自然に受け入れられるぐらい。 「あのさ、夏樹」 「何?」 「キス以上の事したいって言ったらダメ?」 「キス以上って?」 「例えば、夏樹の下半身を触るとか」 「はぁ?やだ!ダメ!恥ずかしいだろそれは!」 「うう、じゃあ我慢する」  悲しそうに言ってキスされた。  律が俺の下半身を触るって、それってつまり男女が交わるアレの事だよな?いやいや出来ないだろそれは。てか男同士ってどうやるんだ?お互い触り合うだけ?にしても恥ずかし過ぎて出来る訳ない! 「律は経験あるのか?」 「……あるけど」 「悪いな。俺無いからまだそういうのしたいと思わないし、分からないんだ」 「ううん、俺が急ぎ過ぎたよ。ごめんね夏樹。嫌いにならないで」 「嫌いにって、律の方がなるんじゃないのか?やりたい事を俺がやらせないから」 「そんな事ない!俺の配慮が足りなかったんだ。本当にごめんなさい」 「律……」 「夏樹がしたいって思う時まで待つから。でもキスはいっぱいしよ?」 「うん。それならしたい」  俺の言葉を最後まで聞くか聞かないかでキスをされた。途中で角度を変えて何度も何度もキスをした。  律は甘えん坊だ。一見大人っぽく見えるが、俺の前では凄く甘えてくる。そしてかなりのヤキモチ焼き。  そろそろ昼間の疲れが出て来たのか睡魔が襲って来た。   「ん、律……俺そろそろ」 「そうだね。寝ようか。おやすみ夏樹」 「おやすみ律」  最後にチュッとして律に抱かれながら眠りについた。

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