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第78話☆

 むせる様な甘い花の香りに包まれながら息を整えていると、琉麒は白露の身体を抱き上げ膝の上に乗せる。  繋がったまま体勢を変えられ、また硬くなっていく肉棒を感じて白露は目を剥く。 「っえ、りゅう、き?」 「まさかこれで終わるはずがなかろう?」 「へ? あっ、はっぁ、あ!」  琉麒の剛直は白露を貫き続け、声が枯れるほどに啼かされた。  何度も体勢を変えて注がれ、よすぎて壊れちゃうと泣き言を漏らすと濃厚なキスであやされて、やがて発情香に脳髄まで犯され快楽に夢中になっていき、自ら琉麒に跨って腰を振りたくった。  そして最後には、気絶する様にして意識を手放したようだった。 *****  白露の発情期は七日ほど続き、最初の三日間は食事を摂るのもそこそこに二人はまぐわいあった。  四日目、五日目と日が経つごとに落ち着いてきて、七日目の今では琉麒の膝の上に乗せられてご飯を食べさせられていても、キスをねだらずに食事を続けられる程度には落ち着いてきた。  琉麒の自室でお互いに夕餉を食べさせあいながら、白露は目の前の美麗な顔を愛しげに見つめる。 「はい、あーん」  薄い唇が白露の差し出した鶏肉を口の中に含み、咀嚼する。食事をしているだけなのにどうしてこんなに神々しいのかとうっとり眺めていると、鶏肉を飲みこんだ琉麒が白露のために葡萄を剥いてくれて、目の前に差し出してくる。 「白露も食べて」 「うん」  ツヤツヤの果実を口に入れると程よい酸味と甘さが舌の上に広がり、白露は自然と笑顔になった。桃の季節は終わってしまったけれど、葡萄は葡萄でとても美味しい。 「ふふ、笹を食べさせあえなくたって、他に美味しい物はたっくさんあるよね」 「なんの話だ?」 「僕ね、将来番になる人とはお互いに助けあって暮らして、美味しい笹を分け合うような、一緒にのんびり鳥を眺めて楽しむような、そういう生活をするのが理想だったんだ」 「そうだったのか」  琉麒は一瞬考える素振りを見せたが、凛々しい声で宣言した。 「白露が望むのであれば、私も笹を食してみよう」 「いいよ、無理しなくて。琉麒は笹を美味しく食べられないでしょう? そういう意味で言ったんじゃなくってね、一緒に食事を楽しんだり、日々の小さな出来事に感動しあえるといいなって意味なんだ。だから今こうして琉麒と過ごせて、すごく幸せだよ」  にっこりと笑いかけると、琉麒は白露を包みこむように優しく抱きしめた。 「白露……私もだ。君が里を出てきてくれてよかった。君と出会えたことは、私の獣人生で一番幸運な出来事と言っても過言ではない」 「そんなに? うん、でも僕もそうかも」  彼と出会ってから勉強することばかりで苦労もしたし、慣れない環境で戸惑いもあったけれど、それでもこうして側にいられて間違いなく幸福だ。

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