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第17話 動物園 ②

 カーテンの隙間から日差しが差し込み、すやすやと眠る雅成の頬に、長いまつ毛の影をつくった。  眩しい太陽の光が瞼の裏側にもうつり、眩しくて目を瞑ったまま眉を顰めた。  昨晩、気を失うまで拓海に可愛がられたのに、もう拓海に触れて欲しいと願う。 キングサイズのベッドで、隣に眠る拓海に抱きしめられたくて手を伸ばすが、人の気配はなく冷たくなったシーツだけが残されている。  ベッドのうえからキョロキョロと拓海の探すが、見当たらない。  一糸纏わぬ姿だった雅成は、ベッドの上に脱ぎ散らかされた拓海のシャツだけをとりあえずき着て、寝室を出た。  洗面所、バスルーム、トイレ、バルコニー、拓海の書斎、ゲストルーム。  その他たくさんある部屋を覗いたが、どこにもいない。  最後にダイニングに行くと、いつも食事をするテーブルの上に、 ーパン屋に行ってくるー  と一言だけ書かれていた。  こんな朝早くからパン屋に行くなんてと時計を見ると、もう昼の11時すぎ。  拓海は何も用事がないひでも、規則正しい生活しているため6時には起きて自宅にあるマシーンで体を鍛えている。  と言うことは雅成は5時間も一人で眠っていたことになる。  もっと早くに起こしてくれてもいいのにと、一人メモを片手に唇を尖ら拗ねていると、ガチャリと玄関が開く音がした。 (拓海だ!)  さっきまで拗ねていたのい、今はもう満面の恵美で拓海を玄関まで迎えに行っている。 「お帰りなさい!」   拓海の元に走っていった勢いのまま、パンともう一つ袋を持った拓海の胸にダイブした。 「ただいま」  雅成にダイブされることを予想していたのか、拓海は結構な勢いで突進されたにも関わらず、涼しい顔でびくともしていない。 「もう、どこに行ってたの? 家中探したんだからね」  雅成が頬を膨らませると、 「メモに書いてあっただろ? って行先書いたメモ、持ってるじゃないか」  靴を脱ぎながら拓海が呆れた。 「うん。でもメモじゃなくて、ちゃんと起こして言って欲しかった」  まだ納得いっていないのか、雅成は頬を膨らませたまま。 「起こしたよ。雅成はきっとそう言うだろうと思って、ちゃんと起こした。しかも何回も。でも起きなかったじゃないか」  やれやれと拓海はまた呆れる。 「そ、そうなの?」  寝起きが悪いと自覚している雅成は、起こされた記憶がないが、起こされたが起きなかったのはあり得る。

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