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圧迫感に息が詰まる。少しずつ体内へ入ってくる壱弥を受け入れている間、彼が中に入ってきているという事実だけが脳を支配する。
――入ってきてる、壱弥が、身体の中に。
自慢の語彙力も消滅して、それだけしか考えられない。
「……っ、はぁ、響、……大丈夫?痛くない?」
「う、ん、だいじょうぶ……全部、入った……?」
「……入った……」
壱弥がすごいと呟き、響を抱き締める。
「……俺、入ってる……響の中に……すごい……」
響と同じようなことを噛み締める壱弥に、ふっと身体の力が抜けた。
「……響、大好き」
涙目の壱弥が触れるだけのキスをする。
「俺も……壱弥が大好き」
唇をくっつけながら言うと、壱弥が眉を下げて笑った。泣き笑いのような顔で、「生きててよかった」と呟く。
響の心臓が絞られたように鳴る。壱弥のことが愛しい愛しいと、鳴り止まない。
中に入ったまま、響が慣れるまで待っていてくれた腰に触れた。
「……もう、動いていいよ」
壱弥の目に、線香花火の火玉のような、とろりと濃い光が浮かぶ。
恐る恐ると揺らされて、だんだんと一定のリズムを刻みだす。違和感でも圧迫感でもない甘い疼きが、中を擦られるたびに広がっていく。
声はもう我慢できなくなっていた。壱弥の動きに合わせて、溶けたアイスクリームみたいに甘ったるく喘いでしまう。
「い、ちや……気持ち、い」
「俺も……良すぎて、やばい……」
頰を上気させ、壱弥が快感に眉を寄せた。首元に浮かぶ筋と汗が、やけに情欲的に見えて息が上がる。
蕩けるような息苦しさに、壱弥を引き寄せキスをねだった。壱弥の潤んだ目が艶やかに細められ、さらに胸が苦しくなる。唇を塞がれて、もっと苦しい。それでももっと、壱弥と深く繋がりたい。
思わず腰を揺らすと、応えるみたいにいいところを執拗に突かれた。響自身にも手を伸ばされ、限界があっという間にやってくる。
「あっ、ああ!だめ、壱弥、もう……っ」
「いいよ、……響、見せて」
壱弥の鈍い光を帯びた瞳が、響を映している。
――一回見たものは、めちゃくちゃしっかり、全部覚えてる。
壱弥の言葉を思い出して、快感が弾けた。チカチカと視界がぶれる。中がうごめくように収縮し、壱弥を締め付けた。
響の腰を掴む壱弥の手の力が強くなる。
「あっ、ま、待って、ああっ」
「ごめん、止まれ、ない」
いったばかりの敏感な中を容赦なく突かれ、ひたすらに喘ぐしか出来ないでいると、壱弥が一際強く腰を打ち付けた。響の中で、熱い塊がその欲を解放した。
荒く息を吐き、壱弥が倒れ込んでくる。耳奥で聞こえる心臓の音は、どちらのものか分からない。
腰が、足が、心が、痺れて震える。
悲しくないのに涙が溢れた。響に抱きつく壱弥の目元も、お揃いに濡れている。
目尻にキスをすると、壱弥が幸せそうに微笑む。同じ場所にキスが返ってきて、響も壱弥みたいに笑った。
汗でしっとりした肌が触れ合って、呼吸も鼓動も一つに重なっている。
「次のヒートの時は、俺の首、噛んで」
言葉がするりとこぼれた。理性もコンプラも届かない、響の心の底から。
こぼれたそれは、壱弥がしっかり飲み込んで、暖かい涙にしてまたこぼす。
「……俺で、いいの?」
「……お前がいいの」
壱弥が震える吐息を漏らす。響のカラーに口付けて、涙の滲む声で、「愛してる」と祈るように囁いた。
響も、壱弥の額にキスをする。涙と愛の言葉が、勝手にまた、するりするりとこぼれ続けた。
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