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凛々奮闘記11
「痛い! めっちゃ痛い!」
「うわっ」
思わずたかちゃんの体を蹴り飛ばして逃げ出した。
ベッドに体育座りをして振り返る。
「いってーなぁ……蹴飛ばすなよ」
「だ、だって痛かった」
「そんなの当たり前だろ」
そりゃ痛いのは知っていたけれど予想以上だった。尻が裂けるんじゃないかって、先しか入れていないのに思うくらい。
絶対無理。あんなの無理。ましてやもっと太いものなんて無理。
「もうやめるぅ……」
「はぁ!? ここまできて!?」
「だって痛いんだもん! たかちゃんが下手なんじゃん!?」
弱々しく声を出せばたかちゃんが驚いて大声を出す。おれはキッとその顔を睨んだ。
思わず悪口を挟めば、たかちゃんの顔にもシワが寄る。
「凛が痛みに弱いだけだろ!」
「痛いもんは痛いもん!」
「じゃあ本当にやめんのかよ! 俺今までずっと我慢してきたんだけど!」
「そんなの知らなっ……え」
おれが目を丸くすると同時に、たかちゃんは口元を押さえる。
我慢……我慢まで、してくれていた? ならずっとずっと狂おしいほどに望んでいた?
「……そりゃそうだよ。凛が好きなんだから」
「たかちゃん……」
「凛がどうだかは知らねーけど……」
「え?」
たかちゃんは寂しそうに視線を落とす。
でも肝心の中身が聞こえなかった。首を傾げるとたかちゃんはおれを抱き寄せた。
「でもそうだよな。負担がかかるのはお前なんだから、お前が嫌ならやめる」
ぎゅうっと腕に力を込めるたかちゃんを、おれは抱きしめ返す。
ここで、やめる。
たかちゃんに我慢をさせる。いつまでも恋人らしいことができない。
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