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凛々奮闘記17

「……」 そっと瞼を持ち上げる。 なんか、だるい。体が、特に腰のあたりが重い。動きたくない。 「たか……」 思わずたかちゃんのことを呼びかけて、すぐに思い出す。おれらが昨日したことを。 勝手に頬が熱くなっていく。 気持ちよかった。恥ずかしかった。 でも何より、かっこよかった。 ただこんな自分の感情を自覚してしまった今、たかちゃんとどう接したらいいか、わからない。そもそもたかちゃんと今までどう接していたか思い出せないんだもん。 「おっ、凛。起きたか?」 「……たかちゃん」 「昨日は激しくしちゃってごめんな。……でも、嬉しかったよ」 「……うん。おれも……」 たかちゃんがおれの部屋に入ってくる。 そしてぽりぽりと頬を掻きながらそう言うもんだから、おれの方も照れてしまう。 ただ頬を染めるたかちゃんを、可愛いと思わず、かっこいいと思ってしまうあたり、末期かもしれない。 心に脳がついていかない。 それに何より直視できないことが問題だ。 「凛、体大丈夫か?」 たかちゃんは机に麦茶二つを置いて、ベッドの方へ近づいてくる。 優しさがかっこいい。心配してくれる顔も、かっこいい。 ああ、本当にだめだ。 おれ、やばい。 「大丈夫」 枕に顔を埋めて、なんとか答える。

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