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凛々奮闘記18
「……凛? 今日おかしくねー?」
「……そんなことない、よ」
「いやいや、口調からしておかしいだろ」
たかちゃんが近づく気配がする。
ならおれは絶対に枕から顔を上げない。
こんな感情に気づかれたら、恥ずかしすぎる。そもそもたかちゃんが嫌がるかもしれない。だっていつでも恋人をかっこいいとしか思えないなんて、気持ち悪い。変人だ。
それに前みたいに接することができないのも、たかちゃんは嫌だろう。
「疲れたのか? 体痛い?」
「……たかちゃんこそ、今日は優しいじゃん」
「いや、まあ……負担かけてるし……」
枕に顔を埋めたままくぐもった声を出す。視界に入らなければ平気だ。
いつも通り。いつも通り。
互いに遠慮がなくて、おれの方は割とわがままで、よく抱きついて。
……無理かもしれない。少なくとも最後が、無理かも。
逆になぜ昔のおれはできていたのだか不思議なくらいだ。
「優しいたかちゃん、変」
「んだよ、それ。優しくねーほうがいいのか?」
「普通でいい〜」
「ははっ。お互い普通が一番だな」
ボディタッチは減るとしても、あとはどうにかなりそうだ。
うん。平常心。平常心。
「昼何食いたい?」
「パスタ〜」
「わかった。じゃあ作ってくるから待ってろ」
「うぃ〜」
バタンッとドアが閉まる音。
何はともあれとりあえず目標達成ということだ。
思わぬ副産物があれど、よくやったと思う。
亜樹くんにお礼を言わなきゃな。
たかちゃんの気配が完全に消えてから顔を横に向ける。
カーテンの隙間から差し込む太陽の日差しが眩しかった。
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