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番外編[酔いどれ柊くん③]

「……せいやと歩くのも、好き」 柊は肩に回している腕を外してしまう。何をするのかと思っていたら、おれの手を取り、恋人繋ぎにした。普段なら絶対しないくせに。 そしておれにバレないように俯き加減で微笑んでいる。酔っているため隠せていない。 「せいやが迎えにきてくれるのも、好き。せいやのいる家も、好き……」 おれらの腕が潰れるんじゃないかってくらい柊は体をくっつけてくる。嬉しそうに笑んで、たまにおれの匂いを嗅いで。 なんだこいつ。なんだこの生き物。おれの恋人は、こんな可愛さも持っていたのか。 「せいやがいるから、僕は……幸せ……」 「……おれも幸せだよ」 「そうなのか」 柊は少し驚いた後、満面の笑みを見せた。ここまで笑うことは滅多にない。 まだ柊は、自分の存在だけでおれが幸せだという事実を信じきれないらしい。幼い頃から否定され続けてきたのだから、無理もない。 きっとそんな柊の弱さや脆さを知っているのは、おれだけだ。だから守ってやりたい。いつだって。 「ずっと……一緒、いてくれるか?」 「ああ。お前が嫌って言ってもな」 「ふふ……うれしい」 ふわりと花が咲く表情は、誰が見ても魅力的だ。まあその魅力を一番知っているのはおれだけど。 その笑顔は可愛いし、見せてくれることが幸せだし、もちろん下腹部にくる。 こいつ、明日記憶あんのかな。なくてもいいし、あったらあったで可愛い。 「せいや、だいすき」 「ああ」 「せいやは言ってくれないのか……」 「おれも柊が大好きだよ」 「僕の方が、だいすきだぞ」 「だからなんで比べんだって」 可愛い可愛い恋人をつれて、おれはのんびり帰路を辿った。

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