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いざ沖縄5

空港に着くとバスとはお別れだ。一人一人運転手の方にお礼をしながら下車した。 それから先生の指示に従って空港内に入った。 こんな大人数が一気に入ったら迷惑なのだろう。全員制服だから修学旅行だとは理解してくれるだろうが。 「颯太は飛行機何回目?」 「二回目」 「じゃあ去年の夏と今ってこと?」 「そう」 「意外だなぁ」 颯太が九条の跡取りと知った状態だと飛行機にはたくさん乗っていそうなイメージがある。俊憲さんが日本あちこちを飛び回っているから、それにつられているだけなのかもしれないが。 「父さんや母さんは多いだろうけど、俺はずっと家にこもって勉強って感じだったから」 「そうなの……ごめんね」 「謝らなくていいよ。あの頃はあの頃で、トラウマとかではないから」 「颯太は強いね」 「亜樹だって強いよ」 「なら颯太は……って永遠に続くやつだ」 二人でくすくす笑いあって空港を進んでいく。 手順とかはよくわからないから、自分のクラスの列についていって、先生の指示に従った。 そうして空港内を進み続け、気づけば飛行機の元まで来る。あの夏の記憶と同じで飛行機に乗り込み、あとは修学旅行のしおりに記載される自分の席に座るだけ。 「やっと座れた」 「なんだかんだ待ち時間もあったしね」 「うん」 この飛行機は二人、四人、二人という座席の並び。僕と颯太は隣同士で、やはり僕が窓側だ。通路を挟んだ颯太の隣に、七班の他のメンバーがいる。 少しお喋りをしていたらシートベルト着用の指示が出る。 すぐに滑走路に入り、エンジンなどの音も大きくなっていく。体へかかる圧力がどんどん強くなっていって、急にやむ。窓の外を見れば、あっという間に地面が遠のいていった。 たったの二回目ということもあってこの瞬間は緊張する。ちゃんと飛び上がれるのかとか、どこか思ってしまうのだろう。 でもひと度空へその機体を沈めたら素敵な景色や気分だ。 程なくしてシートベルトを外してもいいとのことで早速外した。 「颯太空見える? 綺麗だね」 「空も亜樹もね」 「な、に……言ってるの……」 「まあ亜樹は可愛いが一番合う」 「もう、話がずれた」 僕はただ美しい空を二人で共有したかっただけなのに。 ……こうやって言葉にしてみるとなかなかにクサい。 とりあえず空の中の時間は長いし、何か出そうかとカバンに手を突っ込む。 「颯太、これ食べようよ」 「ああ、小室くんの? まだ飛び立ったばかりだよ」 「だめかな……」 手に一番始めに当たったのがさっきのクッキーだ。食べたいのは味とか気になるし、すぐに確認したいなって思ったから……。 でもおかしかっただろうか。浮かれすぎ? お菓子の箱を口元に当てて眉を垂らす。 「泣きそうな顔しないで。誰も食べたくないなんて言ってないよ」 「颯太、大好き……」 「言葉にした理由がなんとも言えないな……」 颯太の苦笑いをよそに僕は箱を開けてテーブルに置く。 そのクッキーはサクサクと感触が楽しく、味も優しい甘さがすごく美味しかった。昔懐かしい味みたいな感じだろうか。 颯太と一緒に食べたから更に更に美味しかった。

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