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ひと騒動のマリンブルー3
「……き……あき、亜樹、起きて」
「んん……そうた……?」
目を擦って開けようとして、開けたくない気がしてやめる。
でも僕の体の揺れは収まらない。
仕方なく目を開ける。目の前には颯太がいる。急に愛しさが込み上げてきて思い切り抱きついた。
「うわっ」
「颯太……颯太、好き……」
「……亜樹、泣いてたよ」
「へ……?」
絶対に離さないとばかりに抱きついていると、颯太が優しく背中を擦ってそう言った。
寝ながら、泣いていたのだろうか。
「起きたら亜樹の目から涙零れていたから起こしたんだよ」
「そうなんだ……」
「なんか嫌な夢でも見た?」
颯太の言葉に自分の見ていた夢を思い出そうとするけど難しい。なんとなく出てくるのはふわふわ温かいイメージ。
「きっと嬉し涙……だよ……」
「本当に? 悲しそうに見えたんだけど……」
「ううん。だって温かい気がするの……。きっと颯太が出たんだね……」
「……そう。うん、きっとそうだね」
僕はしばらく颯太に甘えて抱きついていた。
落ち着いてきた頃にベッドから降りて、制服に着替える。
気づけばもう朝食の時間はすぐだった。慌てて部屋から出て小走りで昨日のホールに行った。
中は昨日と同じく生徒が埋めている。朝食はビュッフェ形式らしくて、お盆を持った生徒の列ができていた。
席のシステムは昨日と同じ。丸テーブルにそれぞれ好きに座る感じ。
僕と颯太はとりあえず列に並んだ。
洋食も和食もあるから、パンとご飯で迷ったけれどパンにした。色とりどりのメニューは欲張りたくなっちゃうけど、残すからと多く取るのは我慢した。
そして一通り取り終えれば探すのは席。
「渡来、間宮、おはよう」
「あ、清水くん」
「おっはよう!! 間宮ぁ! 渡来ぃ!」
「松村くんも」
僕と颯太が首を回していると清水くんたちが呼んでくれた。そこには小室くんや轟くんもいて、そのテーブルで朝食は美味しくいただいた。
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