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第1話 1-1

 タイガの毎日は充実していた。半年ほど前には彼は人生のどん底にいた。初めて愛し将来を考えていた恋人のカエデから別れを切り出されたのだ。しかし、失意のままなんとなく足をむけた店、『desvío』でタイガは運命の出会いを果たした。現在の恋人、カツラと出会ったのだ。 紆余曲折を経てカツラと両想いとなり、先日身も心も結ばれたばかりだ。カツラとの甘い時間を都合の許す限り毎日のように過ごし、タイガの気分はこれまでにないくらい上々になっていた。そんなタイガの顔はふとした瞬間にカツラとの甘い妄想にふけりゆるみっぱなしだ。そんなタイガの様子に周りの目が気付くのも自然のなりゆきなことであった。 今日は久々に会社の先輩のフジキと昼飯に出かける。フジキはこのところ気になっていることをタイガに話し始めた。 「タイガ。お前最近顔緩んでいるぞ。なにがそんなにおかしいんだ?」 「俺、そんなに顔に出ていますか?」 「おいおい。自覚なしかよ。その様子だと、カツラ君がらみか?」 タイガはフジキに世話になったにも関わらず、カツラと甘い時間を過ごすことに夢中になりすぎて、フジキにカツラとのことを報告するのをすっかり忘れていたのだ。しまったと思い慌てて報告する。 「実はそうなんです。つい先日、カツラと仲直りというか、ヨリを戻せまして。フジキさんにも心配かけました。」 フジキはそんなタイガを責めることなく優しく微笑む。 「そうか。よかったじゃないか。しかし、顔はもう少し引き締めておけよ。他のやつらにも突っ込まれるぞ。」 「ははは。気を付けます。あの...。」 タイガはカツラと結ばれ幸せの絶頂にいたが、気になることが一つあった。自分はもしかしておかしいのではと最近真剣に悩んでいたのだ。こんなことを誰かに相談するのもはばかられたので一人で悩んでいたのだが、この際思い切ってフジキに相談してみようかと腹をくくる。 「なんだ?」 「えぇと...。俺、カツラを抱いても抱いても満足できなくて。一日に何度も行為に及んでしまうんです。やっぱり変なんですかね?」 「え...?」  タイガの悩みは切実だった。実際タイガはカツラの裸体を目にすると自分を抑えることがかなり難しいのだ。均整の取れた体、白く抜けるような肌は触れると吸い付くようで心地が良く、細く長い脚の上にある2つのふくらみは完璧な形をしており、揉みごたえがあるくらい豊満で柔らかい。そしてその割れ目の秘部の感触も最高なのだ。自分の行為の結果、あの美しい顔が快感に表情をゆがませるのはたまらなく、何度も何度も彼を貫きたくなってしまう。こんなことはカエデの時にはなかった。 タイガの真剣なまなざしにフジキは言葉を失う。「おいおい、惚気かよ。」と突っ込みたくなるが、くそが付くほど真面目なタイガは本当に困っているのだろう。 「カツラ君の様子はどうなんだ?嫌がっているのか?」 「いやぁ。構わないとは言ってくれていますが。体力的にきついんじゃないかと。終わった後は死んだように寝ちゃいますし。」 そう言いながらタイガはその時のカツラの様子を思い出す。すると性懲りもなくタイガ自身が僅かに反応してしまうのだ。 「まぁ2人の問題だからな。そんなに心配ならカツラ君にきちんと話してみたらどうだ? まだ若い証拠だな。」  2人が上手くいっているのは喜ばしいことだが、恋人同士の営みについてああも直球で相談され正直フジキは戸惑った。そのためタイガには当たり障りない返事しかできなかった。 しかも彼の恋人のカツラはフジキからみてこういう類に関しては百戦錬磨のように見えた。そのカツラが問題ないと言っているのなら、タイガが気にするほど心配なことではないだろうと判断した。

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