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𝐷𝐴𝑌 𝟚𝟡 ⇨ 𝐷𝐴𝑌 𝟛𝟛 ⑮
麻比呂の目の前には礼がいてお互いに名前を呼ぶ声が重なった。全員誰か一人を見て反応したのは見覚えがある顔だからだろう。
「サーフィンに?」
『そうです。もう終わって帰ろうとしていたところで。礼さんは?』
「あー…自分は、、」
「やっぱり!昨日道を教えてくれた人ですよね?礼さんの知り合いだったんですね」
隣から元気な声が礼の言葉に被さって全員が声の方を見た。
『あっ、シーサンライズ行きたいってー…』
「そうです!お陰で無事にたどり着けました。思った以上にボロ…あーっと、、年期が入ったアパートだったんで聞かなきゃ絶対素通りしてたと思います」
「道、麻比呂くんに聞いたの?」
「そう。知り合いだったなんて偶然っ」
偶然合ったどころか数分前までそのアパートで会っていたとは思っていないだろう。二人もそこには触れず目を合わせて黙っていた。
「私、仲根佑香っていいます」
「あー…どうも。由井麻比呂、、です」
「サーファーなんですか?すごいな、私なんて全く泳げないから尊敬します」
そんな二人の会話を静かに聞いていた三葉も何か聞きたげに礼を見ながら口を開いた。
「ねえ麻比呂、私にも紹介してくんない?」
『えっ、ああそうだね。えっと、こちらは真壁礼さん。夏の間だけ仕事で須野に来てるライフセーバーの人』
「ライフセーバーさんですか。もしかして須野 来てすぐの時に会いました?お店で」
「お店って、、?」
「サーフショップです」
「あっ、あの時の店員さん!?」
じっと顔を見て思い出した礼が言うとコクリと頷いて麻比呂に三葉は自分の働くサーフショップで会話をした時の状況を話した。礼が須野に来た初日の出来事だ。
「須野には慣れました?」
「えぇ多少は。だけど完全に慣れる頃には僕はもうここから離れてるでしょうから」
「せっかく知り合えたのに、ひと夏だけって寂しいですね。ね、麻比呂」
『えっ、うんー…』
麻比呂にとっては分かっているけど考えたくない事。だけど礼の話す口調からは寂しいと言う思いは無いように聞こえた。
夏が終われば消えるのが当たり前の様に。
「あのっ良ければ今晩みんな一緒にご飯でもどうですか?麻比呂のお店で!」
『えっ、何で!?』
「いいじゃない!明日行くって言ったけど変更。予定がなければ彼女さんも一緒にどうですか?」
「あはっ。私、彼女じゃないんですよ」
「あっ!そうなんですか。ごめんなさい、、てっきり」
三葉から見た二人は親密でお似合いな恋人同士のように見えて自然と口に出た"彼女"の言葉。
笑いながら軽く否定されたが気不味い空気にはならず、明るく佑香は言葉を返す。
「でも誘ってもらって嬉しいです。是非行かせて下さい。特に夜に予定はないし、帰るの明日なので。礼さん、行こうよ!」
「あっ、でも、、」
三葉は礼の服の袖をくいっと引っ張りながら顔を上げてお願いする。その様子を目の前で見ていた麻比呂は胸の奥でじわっと込み上げてくるのが"嫉妬"だと気づくのに時間はかからなかった。
「決まり!Rock the Oceanは知ってます?」
『礼さんは一度来た事あるよ。つばさくん達と一緒に』
「あっそうなの?それなら話は早いわね。待ってますから二人で来てください」
「嬉しいな!楽しみにしてますね」
すぐに打ち解けて女同士盛り上がれるのは二人の性格か、それとも女の特有の性質なのか。
夜営業の時間に来る約束をして4人は別れた。
麻比呂は礼が手に持っていた花がずっと気になってはいたがそこに触れる事はしなかった。それは昨日アパートへ行った時、部屋に置かれていた花できっと何かしらの意味があるのだろう。
佑香が来たのも何か訳があるのかもしれない。
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