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第9話

お互い話すことは無く受験会場に着いた所で「大丈夫か?」と声をかけてきた楓に「平気だよ。」と笑顔を見せればポケットから何かを取り出し差し出す。俺も手を出せばお守りを乗せてきた。 「朝少し早く起きてさ行ってきた。お互い頑張ろうな。」そう言って微笑んだ。 「ありがとう。でも俺も一緒に行きたかった、、、」 「お前の分も一緒に祈ったから平気。」 「それっていいのか、、?」 「お賽銭倍いれたから大丈夫!」 なんて自信満々に言うから思わず笑みが溢れれば「んっ。もう大丈夫そうだな。」なんて言いながら肩を軽くたたかれた。 それに「ありがとう。」ともう一度お礼を言う。 楓のおかげでなんとか2日間の入試を乗り越え今日は卒業式。 いつもより早めに学校へ向かいながら楓と過ごした3年間を思い出してしみじみしていれば後ろから声がする 振り返れば楓がこちらに向かって走ってきた 「いつもより早いじゃん。どうした?」 「もう最後だしなんとなく?そう言うお前だっていつもより早いんじゃね?」 「まぁ最後だしなんとなく?」 そう言えば「マネすんなよ。」なんて言いながら俺の事を小突いてくる 「もう卒業なんてなー」 「そうだなー。楓と過ごした3年間楽しかったよ、、、」 「俺だって楽しかったし、、、ってか高校も一緒なんだからそんなしみじみすんなよ。」 「同じとこ受けたけど合否はまだだろ?」 「そうだけどさー、俺自信あるし!尚也だってそうだろ?」 「まぁ一応出来たけど、、、」 「んじゃ大丈夫だ!!」 「なんだよそれ、、、」 なんて呆れながら笑う俺に楓は「自信を持つのはいい事だ!」なんて言いながら歩いていく その後ろ姿を追いかけながら "一緒に受かってますように" そう願った。 何も無く無事に式が終わり体育館を出ればお互いの両親が「おめでとう」と声を掛けてくれる。 そのまま写真を撮ってもらい話をしていたら自分を呼ぶ声が聞こえた 声のするほうを見ればはるにぃが小さな花束を持って近付いてきた 「はるにぃ、、、」 「尚也、おめでとう!楓くんも!」 そう言ってそれぞれに花束を渡す 「ありがとうございます!!」そう言って笑顔で受け取る楓を見ながら「ありがとう。」と俺もお礼を言う。 でもなかなかはるにぃの顔が見れず足元ばかりを見ていたら「なおや?どうした?」そう言ってはるにぃが近付いてくるのが分かった。 そんな俺を気遣ってか楓が少し前に出て「尚也、色々思い返して少し泣きそうになってるんですよ、、、その顔見られたくなくてさっきからずっと下向いてるんです。」そう言った。 それを聞いたはるにぃは「そうなのか。楽しい学校生活だったんだな、よかったな。」そう零しながら俺の頭を撫でてきた。 その優しい声と触れる手の感触に胸がいっぱいで、、、 このまま時間が止まればいいのに、、、 好きな人が自分に触れている今この瞬間がずっと続けばいいのに、、、そう願いながら何とか涙を堪え顔を上げた

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