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第42話
それからはいつもと変わらない日常を過ごしていた
「ヒートは基本3ヶ月ごとにくるか、、、」
携帯で調べながら口に出す
あれから2ヶ月が経っている
「くるとしたら来月か、、、薬すぐ手に取れる所に置いとくか。」
そう独り言を呟きながら、あの時病院から貰った薬をリビングの分かりやすい所に置いておく
「これで大丈夫かな、、、」
するとリビングの扉が開き楓が入ってくる
「さっきから1人で何喋ってるんだ?」
「聞こえてた?」
「内容までは聞こえなかったけど、、、ぶつぶつ何か言ってんなーぐらい」
「ごめん、うるさかったよな」
「いや、謝るほどじゃねーよ。そんで何してたんだ?」
「来月ヒートくるかもしれないから、一応薬を分かりやすい所に置いとこうと思って」
「なるほどな、、、」
「あのさ、来月俺にヒートがきてもお前は気にしなくてもいいからな」
「なんで?」
「楓はアルファだろ?俺のヒートがどんな感じなのか分かんないけど、ヒート中のオメガの近くにいたらアルファも辛いんじゃないの?」
「まぁ影響はあるけど、、、」
「だろ?だから気にしなくてもいいよ。俺がその期間家出れたらいいけど、さすがにそれは出来ないからその間ホテルとか泊まってもらったら。俺の都合だから費用は出すし.....」
「無理、普通に心配。」
「でも、、、」
「俺も薬飲めば大丈夫だし、この前のだって平気だったし」
「うそ、病院向かってる時お前無理してただろ」
「それはお前の突然の事でちょっと動揺もしてたからで、、、」
「動揺ね。」
「お前が逆の立場だったらどうするよ?」
「逆の立場?」
「もし俺がベータからオメガになってヒートがくるってなったらお前はどんな行動とる?」
「もしそうだったら心配だから近くにいるよ」
「俺だってそうだよ。」
「でも、、、」
「何かあった時にすぐ対応出来た方がいいだろ?」
「それはそうだけど、、、」
「安定するまでは心配なんだよ。」
「分かった。でも無理だけはするなよ。」
「おう。」
その会話をしてから1ヶ月後
身構えていたヒートはきたけれど、前回よりも軽く日数も1日のみだった
翌日、病院ヘ行き先生に説明をする
「そうだったんですね。まだ完全にオメガという訳では無いのでそうなったのでしょう。ゆっくりと変化していってる状態なので油断だけは絶対にしないで下さいね。薬もそのまま持っててもらって備えておいて下さい。」
と言われた
3年に上がり、それからも何度かヒートがやってきたけれど、どれも "ちょっと身体が熱いな" というものが2、3日続いて落ち着く軽いものばかりだった
11月になり、初めてヒートと呼ばれるものがきた日から1年が経っていた
ヒートがくる予定の週だったが今までの軽さから俺は油断していた
いつも通り休んだ方がいいんじゃないか?という楓の言葉に「軽いものが続いているから大丈夫だよ。薬も持ってるし!」なんて返していた
ネットで少し調べた時に症状が軽くで済む人がいるという事も見ていたせいで完全に俺はその部類だと思っていたんだ
"まだ完全にオメガという訳では無いのでそうなったのでしょう。ゆっくりと変化していってる状態なので油断だけは絶対にしないで下さいね。"
先生にそう言われていたのに、、、
午前の授業を終えお昼をとっていた時だった
身体のダルさを感じヒートがきたのかと思いすぐに持っていた薬を口にした
数分すれば少し落ち着いた事で "やっぱり大丈夫だったな。" なんて思いながら午後の授業へ向かった
始めは問題なかったが時間が経つにつれダルさが再び顔を出す
いつもと違う様子に少しの焦りを感じながらも途中で授業を抜け出す事が出来ず残りの数十分を何とか祈りながら耐え凌いだ
終わったと同時にトイレに駆け込むが火照った身体は限界が近かった
"どうしよう" そう焦る中何とか携帯で楓に電話をかけるけど出てくれなくて
そんな時トイレに入ってきた誰かが発した言葉に身体が震えた
「なんか甘い匂いすんな。」
心臓がバクバクと大きな音を立てる
持っていた携帯を強く握りしめながら再び楓へと電話をかける
"お願いだからそのまま行ってくれ" そう願いながら画面の呼び出し音を見ていれば聞こえてきたのはドアのノックの音で、、、
「もしかしてヒートきてます?大丈夫ですかー?」
その声からは心配というよりもどこか楽しんでいるようなそんな感情が含まれていて
「ヒートなんでしょ?俺アルファだし助けてあげよっか?」
なんて言葉と共に扉がガタガタと音を立てる
「だ、だぃじょうぶ、ですから、、、」
なんとか声を絞り出しながらそう言っても
「えーそれ絶対大丈夫じゃないやつでしょ?大丈夫だよ。俺優しいし、だからここ開けて?」
そう言いながら先程よりも強い力で扉を開けようとしているのが分かった
恐怖でガタガタと震える手で耳を塞ぎながら身体をまるめていれば突然大きな声がした
その次の瞬間扉が開いた
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